一家が住むアパートメントは2008年築。5棟、27階建て、総戸数627戸の大規模住宅だが、元朗では珍しい規模ではない。2DKで広さは約550スクエアフィート(約51平米)、家賃は1カ月1万4500HKD[1HKD=14円として(以下同)約20万3000円]だ。
オートロックで、出入り口にはセキュリティーが常駐。夏場にオープンする屋外プールやバーベキュー場、テニスコートのほか、クラブハウスにはライブラリー、ピアノルーム、麻雀室のほかキッズルームやバスケットコートまで備わっている。
「緑」をテーマにしたコンセプトマンションのため、敷地内は生きた植物が豊富に植えられており、抽選で利用できる畑まである。
「香港人の友達が遊びに来て『こんなに自然が豊富なところが香港にあるのか!』と驚いていました」(秀之さん)
大家と直接やりとりをすることが多い
ちなみに、香港は世界的にも家賃が高いことで知られているが、それは香港島の話。恐らく同レベルの共用部が付いているマンションを香港島で借りる場合は、家賃は倍額ではすまないかもしれない。
とはいえ、今や元朗エリアの家賃も決して安いとはいえない。
香港では、賃貸マンションは部屋ごとにオーナーが異なり、契約から引っ越し後の部屋のメンテナンスまで、直接大家とやり取りをすることが多い。西城さん一家が住む部屋のオーナーは、40歳そこそこの深セン人女性で、夫妻と同年代だ。
大家が2009年に300万HKD(約4200万円)で購入したこの部屋の価格は、いまや650万HKD(約9100万円)だという。デモの影響で、元朗エリアの不動産価格は5~8%程度下がったが、そこまで大幅な下落はしていない。
「僕らと同年代の大家さんが、10年前に300万HKDのキャッシュを持っていたことがすごいです。30歳そこそこですからね。
さらに香港人もしくは永久居民ではない場合には、20%エクストラで税金を払っている可能性もあります。ただ、その結果、今は購入時の2倍以上の価格がついていますから、リッチな人はどんどん豊かになるなという印象です」(秀之さん)
教育面もポイントだ。3歳の長女は今年9月から、地元の公立幼稚園に通い始めた。香港では、幼稚園からスクールバス通学が一般的。朝8時過ぎにマンションの下までバスが迎えに来て、夕方5時半ごろに送ってくる。
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