遺産で肉親同士がもめないための生保活用法 父母がまだ元気なうちにやっておくとよい

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特定の相続人に財産を多く遺したい場合にも生命保険は有効です。

例えば、3人姉妹の長女が父親の介護をしていたケースです。父親は、自分の財産を二女・三女に比べて面倒を見てくれた長女に遺したいと思っています。しかし、長女の取り分が多くなり、姉妹同士でもめるようなことがあれば父親としては頭が痛いところでした。このような場合、長女を受取人にして父親が終身保険に加入することで、父親の思いを尊重しつつ3人姉妹の「争族」対策になります。

どういうことかというと、そもそも父親(被相続人)の遺産は姉妹(相続人)が遺産分割協議で分け方を決める必要がありますが、生命保険は受取人固有の財産となるため、遺産分割協議の対象にはなりません。

民法上、生命保険は相続財産ではないからです。ですから、生命保険の保険金は長女に渡すことにして、遺産分割協議でそのほかの財産を法定相続分で均等に分ける、あるいは姉妹で話し合って分けることにすれば、争いは起こらないでしょう。

父親を見捨てた「弟」からの厚かましい要求

しかし、生命保険も気をつけないと、もめごとに発展してしまいます。

私は「プレ定年専門ファイナンシャルプランナー」として、主に50代の方からお金に関するご相談を受けています。ご相談者の親世代は80代ということも多く、介護と相続についても話題に上がります。そのため相続診断士としてもご相談を受けていますが、中には「絶縁状態の兄弟との相続をどうしたらいいのか」というケースがありました。

A子さんは50代の主婦。家計相談の後、雑談をしていると「私、実は相続についても不安があるのです」とおっしゃいます。A子さんのお父様は不動産を複数所有し、それなりに金融資産があります。「相続で家族がもめるのは避けたい」というお気持ちから、すでに公正証書遺言を作成されていました。

とくにA子さんの高齢のお母様が遺された場合は、「生活に困らないようにしたい」とのことで、資産の大半をお母様に相続させると、お父様からは聞いているとのことでした。

A子さんの悩みは絶縁状態の弟がいることです。理由は深くお聞きしませんでしたが、A子さんによると「もともと、弟とは当たらず触らずの仲でした。結婚後は義妹の言いなりになりました。実家にも寄り付かず、義妹の実家近くに住み、婿入りしたかのようで両親も快くは思っていない」と言います。以前に、お父様が手術で入院した時も、「弟夫婦は案の定、お見舞いにも来ません。見舞いの品をデパートから送ってきただけです」と言うのです。

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