米排除「孔子学院」、日本で蠢く中国の宣伝工作

米中貿易戦争の裏側で「シャープパワー」外交

ここで問題になるのが、「特色ある大国外交」とは何かです。この特色が波紋を呼んだのは、2014年末の孔子学院総本部の理事長による英国BBCでのインタビューです。インタビューの中で孔子学院総本部理事長は、「孔子学院は、中国共産党の価値観を外国に輸出するために存在する」と公言したのです。

中国が主張する「特色ある大国外交」とは、中国共産党の価値観を相手国社会に信じさせる世論工作のための装置である、と言わんばかりです。こうした発言を聞けば、欧米など民主主義諸国が孔子学院の活動に懸念を示すのは当然ともいえます。

排除される中国のシャープパワー

中国が世界各国に孔子学院を設置する活動は、もともと中国語教育や中国文化といったソフトパワーを用いた「パブリック・ディプロマシー」と認識されてきました。パブリック・ディプロマシーとは、中国では「公共外交」と呼ばれ、従来の政府対政府の外交ではなく、政府が相手国の世論に対し直接働きかける外交手法を指します。

いずれの国においてもパブリック・ディプロマシーは外交政策の中で実施され、当然、中国も重要な政策として、国際社会、とりわけ米国において力強い発信を行ってきました。しかし、米国はこれを否定し、「ソフトパワー」ではなく「シャープパワー」を行使しているなどとして、排除にかかったのです。

軍事力を示す「ハードパワー」や、価値観や文化を示す「ソフトパワー」と比べ、「シャープパワー」はごく最近になって使われ始めた言葉なので、まだ認知度が低いと思います。この言葉は、米国のシンクタンクである全米民主主義基金が2017年11月に開催したフォーラムで提起され、新たな脅威として警鐘が鳴らされました。これをきっかけに、米国を中心に世界中でこの言葉が注目されています。

シャープパワーとは、権威主義国家が、強制や情報の歪曲、世論操作等の強引な手段を用い、主に民主主義国家の政治環境や情報環境を鋭く「刺す」「貫通する」「穿孔する」ことで、自国の方針を飲ませようとするものです。ここで示されたシャープパワーを行使する国は、中国やロシアです。

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