トヨタ「グランエース」は誰のためのクルマか アル/ヴェルよりデカい「巨大ワゴン」の狙い

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ただし、勘違いすべきでないのは、グランエースが決して「アル/ヴェルの上位モデルではない」ということだ。

実はグランエースのボディーは、海外向けの新型ハイエースである。単純に言ってしまえば、荷物運搬車(商用車)であるハイエースの超豪華仕様にすぎない。そのため、乗用車として車体づくりの根本から快適性を追求して開発されたアル/ヴェルと比べると、劣る点がいくつかある。

ファミリーユースならアル/ヴェルを

例えば乗り降りの際は床が高く、そのぶん乗降性はマイナスとなる。また、乗り心地はハイエースから大きく改善されているとはいえ、重い荷物を積むことを前提とした車体設計の構造上、アル/ヴェルには届かない。

アル/ヴェルのほうがファミリー向け。写真はトヨタ「アルファード」(写真:トヨタ自動車)

さらにドライバビリティは、セダンから乗り換えても違和感のないアル/ヴェルと違って独特の感覚があるし、エンジンの特性や動力性能なども商用車の域といえる。

つまり、クルマのキャラクターとしてはあくまで運転手付きで移動するクルマであり、パパやママが運転して使うファミリーユーザー向けではないのだ。タイでも、富裕層のプライベート移動車はヴェンチュリーではなく、より快適性が高いアル/ヴェルを選ぶのが常識だ。

以上のことからわかるように、広い室内だけを求めてアル/ヴェル感覚で自家用車としてグランエースを購入することは、決してオススメできない。グランエースは独自のポジションから注目を浴びているモデルではあるが、そこを見誤ってはいけないのである。決して“大きなアル/ヴェル”ではないのだ。

工藤 貴宏 自動車ライター

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くどう たかひろ / Takahiro Kudo

1976年長野県生まれ。大学在学中の自動車雑誌編集部アルバイトを経て、1998年に月刊新車誌の編集部員へ。その後、編集プロダクションや電機メーカー勤務を経て、2005年からフリーランスの自動車ライターとして独立。新車紹介を中心に使い勝手やバイヤーズガイド、国内外のモーターショー取材など広く雑誌やWEBに寄稿する。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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