トヨタ「グランエース」は誰のためのクルマか

アル/ヴェルよりデカい「巨大ワゴン」の狙い

では、グランエースの想定される活躍の場は、どんなものか。

最もわかりやすいシーンは、ホテルの送迎である。訪日外国人客のニーズの高まりによって、今後ますます数が増えると予想されているラグジュアリーなホテルなら、送迎のための多人数乗用車でも豪華な内装の仕立てが欲しいのは当然だ。さらに大きなスーツケースを積む必要だってある。そんな要求にグランエースはジャストフィットする。同様に、企業の送迎やハイヤーとしての需要も考えられる。

さらに大きなニーズとして見込まれるのは、富裕層のグループを対象にしたインバウンド需要だ。

送迎車として人気の高い「ハイエース グランドキャビン」(写真:トヨタ自動車)

昨今、成田空港や羽田空港、それに富士山などの観光地へ行くと、トヨタ「ハイエース」の「グランドキャビン」と呼ばれる仕様を驚くほどたくさん見かける。グランドキャビンは、ハイエースで最も大きなボディーに上質な内装を組み合わせた10人乗り仕様で、訪日した小規模ツアーグループが運転手付きで移動する手段としても、多く使われている。

しかし、日本を訪れるアジアの富裕層のグループには「本来ならもっと豪華なクルマで移動したいけれど、荷物のことを考えるとほかの選択肢がない」として、妥協のうえでグランドキャビンを利用している人も少なくない。彼らにとって、豪華で広いうえに多くの荷物も積めるグランエースは、待望のパッケージングなのである。

アジアを走る豪華仕様ハイエース

また、グランエースは海外でも大活躍することだろう。とくに、アジア地域だ。

例えばタイの首都バンコクへ出かけると、「ヴェンチュリー」と呼ばれるハイエースの豪華仕様が多く走っていることに驚く。それらは、日本のハイエースからは想像できないほど立派な後席を備え、運転手付きでグループの移動手段となるハイヤーのような存在だ。

グランエースは現地で「マジェスティ」として販売されていて、今後は相当な数のヴェンチュリーが、マジェスティへと切り替わっていくことだろう。

グランエースは日本だけの販売にとどまらず、東南アジアを中心とする海外向けモデルでもあるのだ。むしろ、海外向けとして企画された商品を日本でも販売している、と表現したほうが正確かもしれない。

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