「息子の様子が変」マトリに駆け込んだ母の苦悩

覚醒剤乱用者の症状が「最近の息子と似てる」

息子Wの趣味はテレビゲームとパソコンくらいで、外出も駅前のパソコンショップとレンタルビデオ店に出かける程度。反抗期もほとんどなく、手のかからないとても「いい子」で、大学(有名私大)にも苦労せず現役で合格している。しかし、

「半年ほど前から部屋にこもりがちで、最近は食事もまともに摂らなくなった。夜はほとんど眠らないようで朝方までパソコンと向き合っています。家庭での会話らしい会話はありませんが、時折、饒舌になって汚らしい言葉を吐き捨てたりと、とにかく気分の変化が激しい。

あとは、お金を1万円、2万円と際限なく要求してくる。家庭教師のアルバイトでお金を貯金してきたはずなので、“いったい何に使うの?”と尋ねると“ネットで本を買う”とか“友達に借りたお金を返す”とかいう要領を得ない返事ばかり。“お金を盗まれた。いや、落とした”と混乱しながら平然とウソをつくこともある。お金を渡さないと大声を上げて物に当たるので、ここ2~3カ月はとても手を焼いているんです」

診療内科に連れて行ったものの…

その頃はまだ母親も、大学でのトラブルや人間関係のもつれが原因で引きこもっているのだろうと考えていたようだ。実際、本人を説得して診療内科に連れて行ったこともあった。医師からは「ストレスでしょうね。適応障害の疑いもあるので、投薬してしばらく様子をみてみましょう」と診断されたが、息子の様子は改善しないばかりか、ひどくなる一方。ここ半年で体重もかなり落ち、げっそりとやせ細ってしまったという。

「再診を勧めても、息子は“2度とクリニックには行かない!”と拒みます。一度、主人が息子の腕をつかんで連れて行こうとしたら“俺に触るな!”と怒鳴り、主人の胸ぐらをつかんで押し倒したこともある。息子から暴力を振るわれたのは初めてで、これには夫婦ともショックを受けました。正直、今も息子が怖い……」

母親の言葉は悲壮感にあふれているが、その時点ではまだ証拠も何もない状況である。だが、われわれ捜査官はすでに直感していた。彼女の息子は覚醒剤を使用している、と。

食事を摂らなくなって急激にやせる、ウソをついて金を無心し始める、人が変わったように感情の起伏が激しくなる等々、相談内容のそこかしこに「特有の症状」が見え隠れしていた。彼女の話を聞いた後で、私はいくつか質問をしてみた。

――ネットショッピングで何を買っているのか。

本人は小説やパソコンの部品と話しています。でも、梱包を解くと怒るので、実際に中身を確認したことはありません。“もしかしたら裏ビデオかな?”と疑っていた。宅配便は月に2~4回届き、封筒が届くこともありました。

――支払いはどうしている?

わからない。おそらく銀行振り込みだろうけれど。

――現金はどの程度渡したのか。

半年で50万円に上ると思います。恥ずかしい話ですが、せがまれるとつい渡してしまう。

――車やバイクは持っているか。

主人の車が1台ありますが、息子は関心がないようで、免許も持っていません。

次ページ部屋に入ろうとすると烈火のごとく怒り出す
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