ガソリンの暫定税率廃止は「環境」「分権」と整合性をとれ

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また、ガソリン税はいわゆる「蔵出し税」であり、製油所から出荷される段階で課税されている。最終的に負担しているのは自動車利用者だが、「蔵出し税」のまま地方税に転換すると、製油所の有無で地域によって税収の偏在性が非常に大きくなる。そこで、人口やガソリン消費量などを基準に全国に再配分するような仕組みに変えるべきだろう。

一方、環境税の使い道としては、旧道路特定財源と同様に一般財源とし、新たな道路建設への支出は大幅に絞り込みつつ、財政需要が拡大する社会保障関連のほか、地方の公共交通機関への助成や環境対策などに使うのが望ましい。

こうして、自動車関連諸税の一部に環境税を導入しても、将来的には、なお課題が残る。CO2排出を伴う課税対象のエネルギーは、ガソリンと軽油に限らないからだ。白鴎大学の浅羽隆史教授は、「自動車関連諸税の一部を環境税化するだけでは税として理屈が立たない。エネルギー関連税全体への課税をどうするか考えるべき」と指摘する。

ガソリン税と軽油引取税以外に、エネルギー関連の税としては、旧道路特定財源の石油ガス税のほか、原油やLNG(液化天然ガス)、石炭などに課税される石油石炭税、電力会社の販売する電気にかけられる電源開発促進税、航空機燃料税がある。温暖化対策ということなら、これらの課税対象にもそれぞれ一部に環境税を導入し、CO2排出量が多いエネルギーほど重い税率を課すべきだ。その際、ガソリンや軽油への税率も基準を合わせるべきだ。

また、自動車重量税や取得税については、暫定税率廃止に伴い、現在ハイブリッド車などに適用されている「エコカー減税」の存廃に加え、旧道路特定財源とは別に自動車保有者に課税されている自動車税、軽自動車税(いずれも地方税)も含めた役割分担、環境税導入の是非などを議論する必要がある。

鳩山政権が公約する環境政策、世界的な潮流から見て、いずれは日本でも環境税導入は避けて通れないだろう。暫定税率廃止だけを先行させずに、環境政策や分権政策との整合性をとるためにも、環境税導入への道筋を早急に示してもらいたい。

(柿沼茂喜 =週刊東洋経済)

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