総務省「家計調査」は、支出項目別に消費者(世帯)が実際に支出した金額と購入数量を調べるもので、あらゆる業態の店舗や通販での購入(短期間の特売を含む)を対象としている。対象世帯数が少なく、回答の得られる世帯に偏りが生じがちという難点はあるが、商品の購入動向や購入総額がわかる点で貴重なデータである。
ユニクロ系の990円を皮切りに、ドン・キホーテの690円商品など、低価格商品が話題となったジーンズを含む衣料品目の平均購入価格を見ると、男子用ズボンは昨年1~8月の1本4288円から今年1~8月の3801円へと11.4%低下、同じくジーンズを含む婦人用スラックスは14.9%減の3087円となった。これらはいずれも2000年以降、昨年までほぼ横ばいで推移していた品目で、相次ぐ低価格品の投入の影響がうかがえる。
また、品目ごとに銘柄を絞って主要小売店での販売価格を調べる「小売物価統計調査」(総務省)でも、直近9月のブルージーンズ(デニム素材の中級品)の価格は男子用で前年同月比10.8%、婦人用で同7.7%低下している。
こうした価格低下が購入数量の増加につながれば、消費支出は拡大するわけだが、残念ながら購入数量の顕著な増加は見られない。厳しい雇用環境と所得の伸び悩みが長期化する中、消費マインドの改善を伴わないまま、価格低下が加速している。
(『東洋経済 統計月報』編集部)
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