年内売却「アシアナ航空」株めぐり熾烈な綱引き

HDCと未来アセットが優先交渉権を獲得

一方、HDC現代産業開発の計算は異なる。投入した資金がすぐに錦湖に流れるよりは、増資によって発行され、アシアナ航空に直接入る新株にできるだけ多くの資金を割り当てたい。コンソーシアム側が提示した入札価格のうち、2兆ウォン(約2000億円)がアシアナ航空に投入されれば、アシアナ航空の660%にのぼる負債資本倍率は300%を下回る。

HDCグループの鄭会長は優先交渉権を得た直後の記者会見で「(アシアナ航空を)買収することになれば、新株に投入する資金規模は最終的に2兆ウォン以上になるだろう」と述べた。

アシアナ航空の本体と子会社を分離して売却するかどうかも、買収のカギとなりそうだ。HDC現代産業開発にすれば、公正取引法の支配構造規制をクリアするためには、アシアナ航空の子会社を整理せざるをえない。HDC現代産業開発がアシアナ航空を買収すれば、支配構造は「HDCグループ→HDC現代産業開発→アシアナ航空→アシアナ航空の子会社」に再編される。

アシアナ航空子会社売却で業界再編も

HDCグループにとって「ひ孫会社」となる上場企業4社のうち、エアソウルとアシアナエアポートはアシアナ航空が株式100%を保有しているが、アシアナIDTは76.20%、エア釜山は44.20%しか保有していない。公正取引法によれば、「持ち株会社の孫会社はひ孫会社の株式を100%保有すべきであり、これを遵守できない場合には保有株式のすべてを2年以内に処分しなければならない」と規定している。

格安航空会社(LCC)市場の競争が激化している状況を考えると、子会社であるLCCのエア釜山やエアソウルなど航空関連企業4社をまとめて売却することもありうる。HDC現代産業開発がアシアナ航空の子会社を売却すれば、経営悪化に直面している航空業界の再編につながる可能性がある。

アシアナ航空売却後に、コンソーシアムを組む未来アセット側が経営に参加するかどうかも関心事だ。同社は2011年、ゴルフブランド会社を保有するアクシュネット、2015年12月に大宇(デウ)証券、2016年11月にイギリス系生命保険会社であるPCA生命などを買収し、会社規模を拡大させた。世界的な高級ホテルチェーンのフォーシーズンズ、ニューヨークのJWマリオットなどのホテルも保有している。

2017年にはNAVER(ネイバー)と1兆ウォン(約1000億円)規模の戦略的提携を行った。今回のアシアナ買収に参加したのも、これまでM&Aで事業を拡張させてきた朴炫柱(パク・ヒョンジュ)会長の戦略的判断によるものだ。

市場では、未来アセットが保有する世界的なホテルチェーンと航空事業を連結させるなどシナジー効果を出すか、アシアナ航空の経営に直接参加する可能性があるとの見方が広がっている。

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