米中協議に憶病になる人は師走相場で勝てない

「低格付け債券」は大きなリスクになるか?

現在の低格付け債の投資家は「低格付け債」と認識して買っているわけで、問題は以前よりも小さいと筆者は考える。もちろん「何の心配も要らない」と言っているわけではないが、投資家は今回は、高利回りとデフォルトリスクをはかりにかけて投資(投機か?)をしているはずだ。一説によると、BBB(トリプルB)格に満たない債券の2019年発行額は日本円換算で約48兆円と言われているが、ここからも株式市場に投資資金が流れている。少なくとも目先の債券の下落は、世界の金融リスクではなく、株式投資家にとってはむしろ好材料なのである。

とにかく、当面は株式市場への金の流れはもう止まりそうもない。 ただし、ここ数日の東証1部売買代金2兆円割れに見られるように、ここまで上がると、さすがに気迷いの高値警戒感が出て、売りも買いも低調になる。「小さなエネルギー」で動く中小型・新興市場銘柄に資金が向かうのは当然であろう。

事実、11月8日のSQ(特別指数)算出日に、日経平均株価がSQ値2万3637円に届かないという「幻のSQ」を記録したことで、この値を意識する日経平均をしり目に、前出の東証2部や日経ジャスダック平均株価は、年初来高値をしっかり更新している。

「相場は強い銘柄に付け」と言われる。強い銘柄はさらに強く、出遅れ銘柄は最後まで出遅れと言うケースもある。しかしそれは、一波動だけの小さな相場の事。今回のようにスケールの大きな相場は、先行銘柄から出遅れ銘柄への資金循環が起き、それが起きることがスケールの大きい相場の証明にもなって行く。

米中貿易問題は楽観的に考えるべき

米中貿易協議の一部合意問題は、前述の12月15日前に緊張を深めると思うものの、筆者は楽観視している。中国の習近平国家主席にとっては、香港だけでなく「墓まで発(あば)く」などと言われているウイグル人への人権問題が今後大きく世界の注目を集めると思われ、アメリカとの全面対決は好まないはずだ。

また、アメリカの戦後の政局において、支持率50%を割った大統領の再選はないという事実に、ドナルド・トランプ大統領も内政中心に力を入れるところだ。パソコンやスマホ等アメリカ国民に大きく影響を与える「追加関税第4弾」を強行するとは思えない。

今週は、まずは2日(月)の11月財新中国PMI、米11月ISM製造業景況感指数に始まり、6日(金)の11月米雇用統計まで続く米中の重要指標を確認しつつ底値を固めるはずだ。そして月内の相場において、筆者の想定する「2020年の高値2万7000円」にトライできる水準を作ると思っている。

米中だけでなく、クリスティーヌ・ラガルドECB(欧州中央銀行)新総裁がユーロ圏全体の財政拡大の方針を打ち出した欧州、さらには10兆円補正を含む経済対策が期待される日本と、株式市場の上昇環境はますますそろって来た。今回の相場は、予想以上にスケールが大きくなっている。そんな相場では目先の調整安など、心地よい涼風に過ぎないのではないか。

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