ポスト安倍レース、結局「岸田vs石破」の争いに 浮き彫りになる党内の「親安倍」「反安倍」対立

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その結果、若手有望株の河野太郎防衛相や小泉進次郎環境相に加え、菅義偉官房長官や茂木敏充外相ら政権内の実力者が、2021年9月に予定される次期総裁選に向けたポスト安倍レースの有力候補に浮上。今年9月の内閣・党役員人事の後には「出馬の可能性があるのは最大8人」(自民幹部)という混戦模様となり、2大本命とされてきた岸田、石破両氏の影も薄れつつあった。

しかし、10月下旬からの主要2閣僚連続辞任や桜を見る会の私物化疑惑などで安倍1強が大きく揺らぎ、党内に根強かった首相4選説も下火となっている。菅氏は側近2閣僚の辞任や桜を見る会疑惑への対応での狼狽ぶりなどで失速。小泉氏もいわゆる「セクシー発言」などで人気が急落し、結果的に岸田、石破両氏が存在感を増しつつあるのが現状だ。環境の変化を意識してか、ここにきて両氏もメディアなどでの発信に力を注いでいる。

慎重居士の鎧をかなぐり捨てた岸田氏

まず岸田氏は、政調会長続投後は月刊誌や週刊誌のインタビュー企画に積極的に応じ、「次の総裁選には立つ」「禅譲はありえず、総裁選で堂々と戦う」などと、これまでの慎重居士の鎧をかなぐり捨て、ポスト安倍への意欲を繰り返している。

総裁選出馬を明言するに至った経緯について岸田氏は、「総裁は任期3回で終わるのがルール。次の時代には自らが責任を持つ立場になりたい」と強調。依然としてつきまとう「首相からの禅譲待ち」との評についても、「総裁選という制度があるので、戦わないと総裁になれない。禅譲というものはありえない」と明快な口調で否定してみせた。

同氏を支える岸田派では、名誉会長で同氏の後見人でもある古賀誠元幹事長が、岸田氏について「つくしの坊や」(折れやすい優等生)と揶揄し、ポスト安倍には「土の匂いのする政治家」の菅氏が適任との考えを示したことが波紋を呼んだ。これについて岸田氏は「古賀さんはいつも、宏池会政権を作ると強調されており、宏池会の会長と名誉会長として協力し合っている」と受け流すが、当惑は隠せない。

その一方で、総裁選に向けた党内の多数派工作については「勝たなければならないが、今の段階で数合わせを始めるのは時期尚早」とし、年明け解散説についても「リスクを冒してまで選挙をするというのは、よほどの大義がないと」と否定。そのうえで、自らが目指す政権像について、①多様性を尊重した社会、②持続可能性のある政策づくり、③軍縮平和など地球規模の課題解決への挑戦、などを挙げた。

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