進むテレビ広告離れ、キー各局の「秘策」とは ネット広告伸長などでスポット広告が2桁減

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フジ・メディアHDが下方修正しないのは、第2四半期までは他社と比べて放送収入の落ち込みを防げたことと、放送以外の不動産事業などで補えるとみているからだ。しかし、第3四半期のスポット広告は大幅に落ち込んでいる模様で、2020年3月期通期の放送収入に限ってみるとフジ・メディアHDも厳しい。

スポット広告が減少している理由の1つは、今年はスポーツの世界大会が多かったことだ。ラグビーワールドカップを中心に、バレーボールや世界陸上などの世界大会が例年以上に集中した。

今までであればスポット広告に出稿していたクライアント(広告主)が、スポーツ中継に広告を出稿するためタイム広告に切り替えたことで、スポット広告が減少したという。

テレビ広告からネット広告へ

経済環境の悪化もスポット広告市況の悪化要因として挙げられている。あるテレビ局関係者は、「広告主が一様に出稿を様子見しているような感覚がある。米中摩擦など今後の見通しが見えないからではないか」と話す。

テレビ東京ホールディングスの小孫茂社長は「(今期は)日本企業の新商品が極端に少ない。企業が先行きの見通しが不透明なため、宣伝をする時期じゃないという判断もあるのではないか」と話す。

さらにネット広告へのシフトというテレビ広告の構造変化もある。日本テレビHDの酒巻和也取締役は「スポットCMが低調なのは、デジタル(ネット広告)と比べて使いにくいというクライアントの声が聞こえる」と話す。

広告全体に占めるテレビの割合は2018年に29.3%だったのに対し、インターネットは26.9%だった。「今年、ネット広告がテレビ広告を追い抜くことは確実」(広告代理店関係者)という予想も多く、広告の主体はテレビからネットへの移行が着実に進んでいるようだ。

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