中古新幹線を調達?オーストラリアで仰天構想 新線計画で地元市長が突如主張、その理由は?

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両都市間を結ぶ鉄道は現在もあるものの、ゴールドコースト中心部までは乗り入れておらず、トラムやバスで鉄道駅まで行き、そこでブリスベン行きの電車に乗り換えを強いられている。電車そのものの所要時間は約74分だが、乗り換えの手間などを考えるとトータルの所要時間は2時間近くかかる。

ブリスベン空港駅に停車するゴールドコースト行きの列車(写真:TkKurikawa/iStock)

鉄道でのアクセスが悪いため、人々の移動は車が中心だが、道路の渋滞も激しい。

ブリスベン在住25年のITコンサルタント、藤巻ギャレット由紀さんは、同市周辺を取り巻く交通事情について「高速道路M1線は片側4車線もあるのに、ほぼ24時間どこかが渋滞しているという状況で、週末には30kmを超える渋滞が生じることも珍しくない」という。そして「州政府は、この窮状をどうにか解決すべきだ、という圧力をあちこちから受けているはずだ」と語る。

仮に、最高時速160kmと目される鉄道新線が開通した折には、ブリスベンとゴールドコースト間は32分程度で結ばれると試算されている。通勤には条件の悪い現状でも、環境のよさからゴールドコーストに居住してブリスベンへ通う人も少なくない。鉄道新線が開通すれば、ゴールドコーストへのさらなる住民の流入が見込めるだろう。

経費削減へ「新幹線中古」を

そんな中で登場したのが「新幹線の中古車両を導入しよう」という意見だ。主張しているのはゴールドコースト市のトム・テイト市長。「経費削減の一貫として、車両は日本から中古を買い取ろう」との声を上げている。

現地報道によると、両都市を結ぶ鉄道新線はもし実現するとしても、早くて2020年代後半以降になるという。「新幹線の中古導入」は、コストを抑えて早期に新線を整備しようという主張だ。

ただ、この案についてはさすがに市民の間で賛否両論がある。

「これまで政府は一度として、外国の中古車両を買ってまで列車を走らせようとは言わなかった。鉄道実現に向けてずいぶん前進している」と賛辞を述べる市民がいる一方で、「中古車両ではいずれ改装費用がかかるし、中古を買って開通するころには技術革新があるかもしれない。プランとして無駄な気がする」との反対意見もある。

次ページ以前から高速鉄道計画はあるが…
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