中古新幹線を調達?オーストラリアで仰天構想 新線計画で地元市長が突如主張、その理由は?

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オーストラリアではかねて高速鉄道建設の夢が語られてきた。早くは1980年代にシドニー―キャンベラ―メルボルン間の構想が浮上したが立ち消えとなり、その後も何度も計画が生まれては頓挫している。現状では、国内の長距離移動は航空に依存している。

現地では「東京―大阪間やパリ―リヨン間、上海―南京間などのように、350~500km程度の2都市間でそれなりの需要があれば高速鉄道建設への弾みがつくのではないか」との見方も以前からある。例えばシドニー―キャンベラ間は約280kmで、高速鉄道に適した距離といえる。その一方で、「オーストラリアの人口規模からすると、都市間移動といってもそこまでの期待は見込めないだろう」といった後ろ向きの意見も根強い。

ただ、今回調査が行われる予定の5路線は大都市間を結ぶものではなく、ブリスベン、シドニー、メルボルンといった大都市とその周辺都市を結ぶ路線だ。ブリスベン―ゴールドコースト間の新線計画では、念願のゴールドコーストの市内への乗り入れだけでなく、さらに同市郊外にあるクーランガッタ空港までつなぐという案も出ているようだ。

鉄道新線は実現するか?

前出の藤巻さんは「日本―ブリスベン間の直行便の増便も決まっていますし、アジアからの観光客の増加や格安航空会社(LCC)便の増便などもあり、ブリスベンとゴールドコースト間の人の行き来は今後も増えるのでは」という。一方で、「オーストラリアはこういう計画は出ても実現にはなかなか至らないのです。今回の計画の行方は、はたしてどうなるでしょうか」とも語る。

ゴールドコーストの路面電車(写真:BeyondImages/iStock)

ちなみに、ゴールドコーストやブリスベン周辺の鉄道は日本と関わりが深い。ゴールドコーストの街中を走るトラム(路面電車)は、丸紅が現地法人とともに建設・運行・保守に関わるPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)事業権を取得。ブリスベンから北に伸びるクイーンズランド鉄道の北海岸線には、日立製作所が台車部品や傾斜制御装置を供給した、JR四国の8000系電車を設計のベースとした振り子式電車が走っている。

新幹線の中古車両導入という驚きの案も登場し、熱を帯びているかに見えるゴールドコースト―ブリスベン間の鉄道新線計画。浮かんでは消えを繰り返してきた計画は、はたしてどうなるか。

さかい もとみ 在英ジャーナリスト

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Motomi Sakai

旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com

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