創通「ガンダム安売り」買収が反対されるわけ バンダイナムコ、版権一本化が直面する関門

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バンダイナムコが10月9日に公表したTOB価格3100円は、TOB公表前日終値1865円に対して66.22%、公表前1カ月平均の1862円に対して66.49%ものプレミアムをつけている。

買い付け予定株数の上限は設けず、下限は応募契約を締結している那須氏所有株数と同じ721万株としている。つまり、那須氏さえ応募すればTOBは成立し、すでに所有している22.79%と合計すると、バンダイナムコの出資比率は3分の2を超え、株主総会で少数株主を追い出す特別決議を通すことも可能になる。

株主間の公平性に違反する可能性

そのバンダイナムコのTOBに異議を唱えたのは、アメリカ系の日本株運用会社のRMBキャピタル。TOB公表から1カ月近く経った11月5日深夜の反対表明となったのは、「金融商品取引法の解釈などについて、法律家の意見を求めるなどして慎重に検討していた」(RMBキャピタルの運用責任者、細水政和氏)ためだという。

2019年11月7日に開催されたバンダイナムコの2019年度第2四半期の決算説明会(撮影:大澤誠)

RMBがまず問題視しているのは、今回のTOBが株主間の公平性を図るため、均一の条件による公開買い付けを義務づけている金商法に違反する可能性がある点だ。

具体的には、TOBの終了後、創通が87%を所有するジェイ・ブロード株を那須氏に譲渡する一方、那須氏が所有する創通エンタテイメント株式を創通が引き取るというもの。ジェイ・ブロードは薬学系学生向け就活支援サイトを運営し、業界トップ。直近決算で創通の連結純益の約2割を稼ぎ出すが、那須氏にいくらで譲渡するのかは未定だとして公表していない。

本来、那須氏にはできるだけ高く創通株を売りたいというインセンティブが働くはずだが、仮にジェイ・ブロード株購入で利益が得られれば、創通株の売却価格は安くても構わないという判断になりかねない。ジェイ・ブロードの譲渡価格が不明なままでは、那須氏と他の一般株主の買い付け条件が同じなのかわからない。

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