創通「ガンダム安売り」買収が反対されるわけ バンダイナムコ、版権一本化が直面する関門
時価総額は2011年ごろまでは金融資産残高の増加に歩調を合わせる程度にしか増えず、PBRも1倍を割っていた。が、2011年10月から放送されたテレビアニメ「機動戦士ガンダムAGE」で、ゲームなど周辺ビジネスとタイアップした。有機的な版権活用を行った結果、ガンダムライツの収入が急増した2012年ごろからは株価も上昇。PBRも一時期は2倍近くまで上昇したが、近年は低下傾向にあった。
創業者の那須氏は1938年生まれで現在81歳。2003年11月の総会で代表権を持ったまま会長に就任、2009年11月に会長職を辞するまで、44年間にわたってトップを務めた。現在は資産管理会社の保有分を含め、創通株式の発行済みの48%、議決権の49.2%を保有している。
創通買収でガンダムの版権を一本化
一方、バンダイナムコはガンプラ(ガンダムのプラモデル)やソーシャルゲーム、映像音楽コンテンツなど、ガンダム関連の製品を多数扱っており、同社のキャラクター別の売上高でも、ガンダムはドラゴンボールに次ぐ稼ぎ頭だ。
ナムコと合併する以前のバンダイがガンプラを発売したのは、アニメ番組の放送開始翌年の1980年。当時は番組スポンサーでもあったクローバーという玩具メーカーがガンダムの玩具を製造していた。しかし、「子供向けの玩具ではなく、ヤングアダルト向けのプラモデルだからクローバーとは競合しない」として版権を持つ創通を説得。バンダイがプラモデル商品化権を取得したというエピソードを、ガンプラの生みの親である松本悟、仲吉昭治両氏が『俺たちのガンダム・ビジネス』(日本経済新聞出版社)に書いている。
創通には店頭公開前の2000年に既存株主から発行済みの21.7%を取得して資本参加(現在は22.79%)。創通はバンダイナムコの持分法適用関連会社となっている。
バンダイは、創通同様にガンダムの版権を持っていたサンライズを1994年に子会社化(当時は51%、現在は完全子会社)。今年はガンダム誕生40周年の企画が目白押しで、このタイミングで創通を買収し、ガンダムの版権を一本化できる効果は大きい。
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