復旧を阻む険しさ、箱根登山鉄道の「台風被害」 橋桁が流出、今後の被災防ぐ対策も課題
また、復旧作業を進めるうえで、大型トラックの進入経路や大きなクレーンを載せられる作業構台などを構築しなければならないが、並行する国道からアクセスしづらい蛇骨陸橋付近の地形も大きな障害となる。
「進入経路の確保の方法としては2案ある。1案は国道から遊歩道に沿って仮設の搬入経路をつくる案だ。この場合、遊歩道を大型トラックが通過できる程度に拡幅する必要がある。もう1案は、小涌谷踏切から線路を経由してアクセスする方法だ。この場合は既設のレールや枕木などを撤去し、舗装するなどしなければならない」(土木担当者)
再び被害を受けない対策を検討
さらに、近年の台風の大型化を考慮した対策も課題となる。来年以降、今回のような台風が来ないという保証はなく、とりあえず電車が通れるようになればいいという突貫工事では意味がない。
同種の被害を再び受けないようにする対策案としては、あくまでも仮の話ではあるが、陸橋を崖崩れが発生した斜面から離して川側に振るなど、線形を変更することなども考えられよう。この場合は、陸橋は完全な架け替えとなるが、こうした対策まで視野に入れるならば、復旧には相当な期間が必要となる。
復旧時期のメドについては、「年内には公表したい」(菅原氏)という。
ちなみに、箱根登山鉄道が今回のような大きな台風被害を受けたのは初めてではなく、「1948(昭和23)年に発生したアイオン台風では常盤沢橋梁や大沢橋梁の鉄鋼桁や橋脚が流され、復旧に約10カ月かかったという記録が残っている」(菅原氏)そうだ。
アイオン台風や1991年の台風など過去に発生した台風被害の内容も勘案すると、「一定の雨量が降れば、地形などの影響で、ほぼ同じ場所で被害が発生することが今回の台風でよくわかった。こうした情報を復旧作業の参考にするとともに、今後も、しっかりと引き継いでいきたい」(土木担当者)という。
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