ヤフーとLINE「統合」はバラ色の未来を描けるか アジア市場への足がかりとブランド整理の思惑

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
その先には困難が待ち受けているかもしれない(写真:共同通信)

ヤフージャパン(Yahoo! JAPAN)を運営するヤフーの親会社、ZホールディングスとLINEは11月18日、両社が経営統合することで基本合意したと発表した。

インターネットの覇者とメッセンジャーアプリの覇者。両社の合流は勝ち残りをかけた戦いであるとともに、ネット事業でアジアにも商圏を広げていく最後のチャンスとなるだろう。

一方で、この組み合わせは、事業規模の拡大へと本当につながるものだろうか。1億人規模のサービスプラットフォームを生み出し、さらにアジア圏へと踏み出していく足場になるだろうが、その先には困難も待ち構えている。

もはや“レガシー”となったYahoo! JAPANの進む道

時計の針を少し戻そう。1995年も年末のことだ。ソフトバンクのビル。その一角の小さな部屋にあった新会社の準備室を訪ねたことがあった。ソフトバンクが出資していたアメリカ本国のYahoo!との合弁会社設立前夜のことだった。

日本でヤフーが1996年1月に法人登記されると、1997年11月には早くも店頭市場(現在のジャスダック)で株式公開を果たす。以来、アメリカでインターネット黎明期に頂点を極め、その後、凋落の一途をたどったYahoo!に比べ、別法人である日本のヤフーが運営するYahoo! JAPANは、パソコンを使う際のインターネットサービスの入り口としての絶対的な地位を確保し続けてきた。

Yahoo! JAPANは、パソコン時代の混沌としたネットの情報へと心地よく向き合うシンプルな“入り口”を提供できたことが成功の要因だった。その強みを生かし、スマートフォンの時代にも多様なアプリを提供し、パソコンからスマートフォンへと軸足を移してきたが、Yahoo! JAPANはスマートフォン、つまりモバイル分野において絶対的な立場にはない。

ZホールディングスがZOZO買収を発表した際、ZOZOの前社長である前澤友作氏は、「40〜50代のユーザー層が厚いYahoo! JAPANがZOZOの手薄な領域を補完する」と話していたが、それはそのままYahoo! JAPANの“弱み”でもある。

次ページPCでは無敵のヤフーだったが
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事