キーエンス、「40代半ばで新社長」の最強法則 9年ぶり社長交代、株式分割に伴い実質増配も

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さらに市場が評価しているのが実質増配だ。株式分割を行うと普通は配当も分割した割合に合わせて減少するが、今回の株式分割では1株あたり年200円の配当を継続し、実質的に400円の増配となる。

キーエンスは2017年1月に1株を2株にする分割を実施した際には実質的な配当額を据え置いたが、今回は実質増配に踏み切った。

キーエンスの経営情報室長である木村圭一取締役は「これまでも決して株主を軽視していたわけではなく、引き続き株主の利益を重視していく」と話す。

最近は株主還元を強化

多くの投資家はこれまで、「キーエンスは株主還元に積極的ではない」と捉えてきた。株主総会では毎回、社長や創業者である滝崎武光名誉会長の取締役選任議案に約3割程度の反対があり、株主総会での賛成率9割強が一般的な日本企業にあって、株主の不満が高い会社だといえる。

ただ、配当額は2018年3月期に年間100円、2019年3月期は年間200円、今回の株式分割で2020年3月期は実質400円と最近は株主還元を強化していた。

さらに、今年10月にアナリストや機関投資家向けの電話会議を初めて開いた。これまでアナリストや機関投資家からの問い合わせは個別に回答していた。10月発表の決算補足説明資料では、決算短信に記載されていない地域別売上高や状況、国内の業種別売上を記載している。

「開示内容の範囲はこれまでの個別の問い合わせでの回答と大きな差はない」(電話会議に出席したアナリスト)。地域別の状況についても決算後にアナリストがレポート等で投資家らに示していたため、市場で出回る情報量に大きな変化はないが、「会社側が自ら資料を作成し、説明会を行う態度に意義がある」(都内の機関投資家)と印象は悪くないようだ。

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