ヤフーとLINE、浮上した「経営統合」の衝撃度 経営統合で両社の悩みは一気に解消される

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今回の統合協議がまとまれば、大きな顧客基盤を持つインターネット企業グループが誕生する。Zホールディングスには月間ログインユーザーID数5049万ID(9月時点)という大きな顧客基盤がある。一方のLINEにも月間アクティブユーザー数で国内8200万人、台湾・タイ・インドネシアを含めた主要4カ国で1億6400万人というユーザー基盤がある。

また、Zホールディングスの傘下には、ヤフーのECサイト「Yahoo!ショッピング」やオークションサイト「ヤフオク!」があるほか、個人向けEC「ロハコ」で提携関係にあるアスクルやホテル予約サイト運営の一休など複数のeコマース会社がぶら下がっている。さらに、11月13日に株式公開買い付けを完了し50.1%を取得した衣料品ネット通販大手のZOZOも傘下に取り込む。

重いペイ事業の先行投資負担

10月からはペイペイモールやペイペイフリマも始まった。これらのEC基盤にLINEユーザーを送客できれば、ZホールディングスのEC事業が大きく飛躍する可能性があるだろう。

もうひとつ重要な点はキャッシュレス事業を統合できる可能性を持っていることだ。

ソフトバンクグループ、ソフトバンク、ヤフーの3社が株主のPayPay(ペイペイ)は、大規模なキャンペーンを展開していることから2019年度上半期で345億円の営業赤字。LINEも同じくキャッシュレス事業の赤字に苦しんでいる。経営統合でここを一体化すれば先行投資負担を分け合えるので有利だ。

中国においてシェアリング最大手のDiDi(ソフトバンクグループのファンドが出資)が激しいシェア争いを繰り広げていた大手2社「快的打車」と「滴滴打車」の統合で誕生した。その後、圧倒的な強みを発揮しているように、ネットサービスにおいてシェア拡大こそがきわめて強力な武器であることを孫社長は熟知している。

「総取り」を目指す孫社長ならではの構想といえるだろう。

ヤフーとLINEが統合すると何が起こるのか。そしてメルカリなど、他社はどのような決断を迫られるのか。東洋経済プラスの連載企画「ヤフー・LINE『統合』の衝撃」でも詳報していく。
山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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