学校に「先生!」と電話をかける前にすべきこと 客観的事実を集め、解決につなげる

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では実際にいじめが発覚したとき、どのように対応していくのがいいのか、子どもからいじめられていると打ち明けられた場合を例に、対応の例を示してみたいと思います。

まず、お子さんに事実確認をします。このとき、「悪口を言われているような気がする」「無視されているような気がする」という漠然としたものの場合もあります。

しかし大人がしっかり事実関係を確認するところから第一歩が始まりますから、「いつ」「どこで」「誰に」「何をされたか」を明確に押さえていく必要があります。

もし「殴られた」などと言われれば、親であれば動揺すると思いますが、「どれくらい?」「どこを?」「何発?」と具体的にしていくことが大切です。聞くのはつらいでしょうが、この情報で対応が変わる場合もありますから、とにかく情報をクリアにしていきましょう。

情報をできる限り切り分ける

このような情報が得られなかった場合は、周りから聞いた情報をもとに判断するわけですが、学校に相談するときは、事実なのか、推測なのか、伝聞なのかの切り分けを行ってください。

このとき、子どもがうそをつかないで話せるような環境をつくってあげてください。1度うそをついてしまうと、子どもはそのうそを覆すことがなかなかできません。時にはそのうそをつくろうために、うそを重ねてしまうこともあります。このことを頭の中に入れておきましょう。

私は多くの子どもに関わってきましたから、「いじめを訴えた側が実はうそをついていた」ということもなくはありません。しかしやはり子どもから話を聞くときは、最悪のパターンを想定しておかなければならないと思います。

「お父さんお母さんは絶対に味方だし、先生にもわかってもらうから、安心して話してね。苦しんで学校に行くことなんてないし、1人で我慢しちゃだめだよ」と、伝えてあげることも、場合によっては必要でしょう。

本当にいじめられていて、なかには自分の命を絶とうと考えている場合もあるので、苦しんでまで学校に行く必要はないと伝えて、お子さんを安心させてあげてほしいのです。

なお、場合によっては、親がここまで調べる必要もありません。何かがありそうだと感じたら学校に伝えて、前述したことを学校側にやってもらうこともできます。

このとき、お子さんが話をしたくないと言う場合もあるかもしれませんが、話を聞かなければ事実をつかむことはできなくなってしまいます。お子さんの負担のない方法で、事実確認ができるようにしてあげてください。

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