親が恐れる「中学の内申点」の知られざる実際 中学校長が教える“学校以外"の学びの場

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また内申点が斜線の場合、都立高校の推薦入試を受験することはできませんが、過去には私立高校の推薦入試を受験した事例があります。

私立高校に直接連絡し、不登校で内申点がついていない生徒の事情を伝えたところ、事前に本人・保護者と面談をしてくれ、本人の強い志望動機を認め、推薦入試を受けさせてもらったのです(そしてもちろん合格しました)。

さらに、そもそもの話になりますが、私は常々保護者のみなさんに「大学進学を目指すなら無理をして高校に行くこともないですよ」と伝えています。

大学に行きたいのであれば、高卒認定(高等学校卒業程度認定試験)を受ければいいのです。

大事なのは将来どのような生き方をするか

私のかつての教え子である株式会社アドウェイズの代表取締役社長・岡村陽久くんは、高校を中退しています。

先日会ったときに中退を決めたときのことを改めて聞いてみました。

『麹町中校長が教える 子どもが生きる力をつけるために親ができること』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

彼は中退するかどうか悩んだとき、さすがに不安だったため、書店で高卒認定の問題集を見てみたのだそうです。するとその問題がとても簡単だったので、「なんだ、こんなに簡単だったらいつでも大学に行ける」と思い、中退を決めたのだとか(高卒認定の受検資格は満16歳以上ですが、大学受験資格を得られるのは「18歳に達した日の翌日」からなので、実際には高校3年生と同じ年で大学受験が可能になります)。

麹町中の卒業生の中には、成績がトップクラスの子で、名門進学校の日比谷高校に進学するか、通信制高校の「N高」に進学するか悩んだ子がいます。

この子はどうしてもやりたいことがあり、それに時間をかけたいと考え、拘束時間の長い全日制高校ではなく、時間に融通の利くN高を選びました。

自分のやりたいことをしっかりと自覚し、自分の道を歩めることはすてきなことです。

将来どのような生き方をするかを見つけられる場所が学校以外にあるのであれば、学校にこだわる必要は実はないのです。

工藤 勇一 横浜創英中学・高等学校校長

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くどう ゆういち / Yuichi Kudo

横浜創英中学・高等学校校長。1960年山形県生まれ。東京理科大学理学部応用数学科卒。山形県公立中学校教員、東京都公立中学校教員、東京都教育委員会、目黒区教育委員会、新宿区教育委員会教育指導課長などを経て、2014年から千代田区立麹町中学校長として宿題廃止・定期テスト廃止・固定担任制廃止などの教育改革を実行。2020年より現職。教育再生実行会議委員、内閣府 規制改革推進会議専門委員、経済産業省 産業構造審議会臨時委員など、公職を歴任。著書多数。

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