人によって感じる「シニア独特に臭い」の正体 日本では「加齢臭」は偏見の対象になっている
慢性疾患を抱えている人は年齢に関係なく体臭が出やすいという点では専門会の意見は一致している。プレティはこれを、食生活や代謝、セルフケアが原因だと考えている。ルンドストロムは炎症が細胞の腐敗に結びつき、臭いを生んでいる可能性があると考え、研究を行っている。
「確かにそれは筋が通っている」と、ルンドストロムの説を聞いたプレティの反応は好意的だった。「われわれは炎症性の疾患については検討したことがない。研究対象者はみんな健康体だと答えていた」。
加齢と関係した体臭と戦うには
2人とも、嗅覚は加齢とともに衰える傾向にあると指摘した。つまり両手をお椀のようにして息を吹き込むとか、脇の下を嗅いでみるといったセルフチェックも70歳前後になると役に立たなくなることが多いのだ。
「私は健康な80歳のほうが健康な30歳より体臭は薄いと確信している」とプレティは続けた。「だが、病気や障害がからんでくると話はもっとややこしくなる。いいかい、私は何度も脳卒中を起こした人の世話をしている。そうなると話はまったく別なんだ」
今のところ、加齢に関係した体臭と戦うのに一番いい方法は、体と生活環境を大事にすることだ。運動し、健康を保ち、水分をきちんと摂取し、衛生的な食べ物を食べ、窓を開け、衣類やシーツを洗うことだ。
そしてあまり体臭を気にしすぎないことだ。
ついこの間、私は冒頭の老夫婦の家に忘れ物を届けに行った。お茶を入れてもらっておしゃべりをする間に、例のかびっぽくて甘いイチゴの香りに私は気がついた。だが夫妻の居心地のいいリビングルームでは、それはけっして不快ではなかった。時と場合によりけりだ、と私は思った。その点については、ルンドストロムは正しかった。
(執筆:Ann Bauer記者、翻訳:村井裕美)
(c) 2019 New York Times News Service
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