人によって感じる「シニア独特に臭い」の正体 日本では「加齢臭」は偏見の対象になっている
「日本の研究では、何の臭いか教えられなかった場合には被験者は『不快でない』と答えたのに、年配者の臭いだと伝えると『気持ち悪い』という評価になった」とルンドストロムは言う。
日本における偏見は明らかだ。年配者の体臭は「加齢臭」と名付けられ、明らかにネガティブなイメージがついて回る。柿の成分を使った加齢臭対策を謳った高価なせっけんも売られているくらいだ。
加齢臭をネタにしたビジネスは眉唾
プレティは2001年の論文の研究的根拠の科学性に疑義を差し挟む。「もともとの日本の研究が発表された時、私は57歳だったが、ひどく腹立たしく思ったことを覚えている」と彼は言う。「サンプルを提供した『中高年』には40歳代の人も含まれていた。ばかげている」
ルンドストロムも、加齢臭をネタにしたビジネスは眉唾ものだと考えている。高価なクリームや石けんなど役に立たないだろうというのだ。
「臭いはなかば無意識に知覚される」とルンドストロムは言う。「だからそれをごまかそうとしても無駄だろう。どの臭いも鼻の特定の化学的受容体と結びついている。強い香水を付けていてもこの情報は伝わるはずだ」。
その代わり、彼は高齢の両親によく体を動かし、頻繁に家の空気を入れ換え、汚れていないように思えても衣類やシーツ類をこまめに洗うようアドバイスしている。遺伝的な素因や全般的な健康状態といった、体臭に関するほかの要素はコントロールしにくい。
プレティのアドバイスも――年配者の体臭は若者より薄いとの信念にも関わらず――内容は同じようなものだった。