アップルが警鐘「スマホに抜かれる個人情報」

なぜ「検索した物」の広告が表示されるのか

アップルは、次のアプリを取り上げ、プライバシー対策を行っている点をアニメーション付きでわかりやすく紹介している。

・Safari:ウェブブラウザーで閲覧しているページに埋め込まれたコードや共有ボタンの表示によって、広告主が閲覧しているユーザーの情報を活用することを防ぐ。
・地図:ログイン不要で利用することができ、現在の位置情報、地点や経路の検索情報を、ユーザーアカウントと結び付けないことで、居場所や移動計画をアップルや第三者に知られないようにする。
・写真:iPhoneやiPadなどの端末内で機械学習処理を行い、写真の分類や管理を行うことで、解析のためにクラウドなどのサーバーに写真をアップロードする必要がない。
・メッセージ:P2P暗号化を行って通信するため、送受信している人同士にしか開けず、アップルも内容を見ることができない。
・Siri:あなたが誰か? という識別を行うのではなく、どんな情報が必要かを端末内で学習する。リクエストを処理する際にはランダムな符号を付与し、個人が特定できないようにする。
・WalletとApple Pay:クレジットカード番号を隠した状態で店頭・オンラインでの決済を行うため、スキミングなどによる不正利用のリスクを低減させる。
・ヘルスケア:データを暗号化して端末内に格納するため、パスコードやFace ID・Touch IDといった生体認証を経なければ内容を閲覧できない。
・Sign in with Apple:サービスごとに異なる仮のメールアドレスを活用し、パスワードとともに端末に保存。もしメールアドレスが流出しても、個別に無効化できる。
・Find Myアプリ:GPS搭載のアップルデバイスに加え、GPSを搭載しないMacについても、周囲にある第三者のアップルデバイスの位置情報を通じて位置の特定に対応。その際、デバイスを探している人の情報は暗号化され知られず、アップルも感知しない。

アップルの主張の逆を考える

ウェブサイトではアップルがどんな対策をしているかを紹介しているが、これらがわれわれのスマートフォンとともに過ごしている生活の中で、「プライバシー保護が当たり前」ではないことを表している。

例えばウェブブラウザーであれば、グーグルなどで興味のある情報を検索して製品のページを見てからほかのニュースサイトを見ると、自分が興味のある製品や分野の広告がバナーで表示されていることに気づく。車が好きで車の情報を調べていれば、バナー広告は車だらけになっていくのだ。

別にそのニュースサイトに「自動車に興味がある」と伝えたわけでなくても、ウェブ広告の仕組みとして、車の広告があふれる。これはログインして使うサービスでなくても同じことが起きており、ブラウザー側に情報を記録するCookieを参照したり、画面サイズやフォントなどからアクセスしてきている人が同一人物であると判断する仕組みが活用されている。Safariの対策でアップルは、こうした個人を特定する広告テクノロジーをブロックする、と表明しているのだ。

このように、アップルが「やらない」と言っていることの真逆が、当たり前のように行われているのが現在であり、われわれのプライバシー情報が知らないうちに活用され、ビジネスが生み出されている。

無料で提供されるサービスを広告費で賄っている構造もあり、こうしたテクノロジーが完全に悪だともいえない。しかし善しあしを判断する手前の段階、すなわち「知らない」という状況から脱することは、重要な1歩であると感じた。

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