パイオニア買収を中国ファンドが模索? 技術の軍事転用が狙いか
公的資金投入の第1号となったエルピーダメモリの場合、日本の半導体産業育成という産業政策上の必要性があった。JALにしても、国際線や地方路線網の維持という大義名分が公的資金導入論の土台にある。
ところが、パイオニアには税金を投入する理由が乏しい。カーナビは国内首位とはいえシェアは約3割。カーステレオは他社でも製造できる。
強いて挙げれば連結ベースで3万2000人もの従業員を抱えていることだが、雇用を理由に救済していたら、「過去の山一証券やそごうなどの処理と整合性が取れなくなる」(経産省幹部)。
また、経産省からすれば、民間側の煮え切らない態度も、公的資金の導入をためらわせる大きな要因だ。パイオニアはシャープが14・2%保有する筆頭株主。経営面では三菱東京UFJ銀行が06年、創業家の松本一族の影響力を排除して以降、経営再建を主導することになっていた。
しかし、シャープは本体の経営再建で他社の面倒を見る余裕はない。三菱東京UFJ銀行も、パイオニアの延命に必要な巨額増資を単独で引き受ける気はない。経産省は「民間だけで再建を完結させてほしかった」(先の幹部)と息を殺して事態の推移を見守ってきたのが実情だ。