キヤノン、ミラーレス不振で3度目修正の深刻度 ソニーが大きく伸長、揺らぐ絶対王者の地位

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一眼レフカメラの王者だったキヤノンがミラーレスカメラで苦戦するのはソニーの技術力の高さも背景にある。ミラーレスカメラの肝となるのはイメージセンサーの技術力だが、ソニーはCMOSイメージセンサーで世界シェアの過半を占めている。

ミラーレスは、センサーに当たった光を信号処理して電子ファインダーに表示するため、一眼レフと比べて撮影に若干の遅れが出てしまう。ピントを自動で合わせるオートフォーカス(AF)の速度も遅く、スポーツ競技など一瞬をとらえたり、連写が必要な撮影では不利だとされていた。

ところがソニーはその欠点を克服。2017年に「ミラーレス一眼の歴史的な転換点」(同社デジタルイメージング本部の大島正昭担当部長)となった「α9」を発売した。メモリーを内蔵した積層構造のCMOSセンサーを世界で初めて導入。膨大な信号をメモリーに一時保管することで高速処理が可能になり、一眼レフと同等以上の性能を実現した。

ソニーがミラーレスカメラのリード役に

デジカメ市場に詳しいテクノ・システム・リサーチの大森鉄男シニアアナリストは「ソニーのα9が一眼レフにはない撮影体験を実現したことで、カメラ市場の構造が変わり、ソニーがリーディングカンパニーになった」と話す。

商品のラインナップも、フルサイズミラーレスで20万~40万円弱の商品を主力にするソニーに対し、キヤノンは10万円台後半から20万円強が中心と平均単価に差が出ている。交換レンズ本数もソニーが30本以上あるのに対し、キヤノンは年内にようやく10本そろえた段階だ。

国内市場では、キヤノンのミラーレスカメラでエントリー機種に位置づけられる「EOS Kiss M」が、ミラーレス一眼レフ分野の台数シェアで2018年に1位になっており、「王者」の反撃はようやく始まりつつある。しかし、世界市場でソニーを追撃できるのか、カメラの王者は正念場を迎えている。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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