DRAM価格上昇で危機脱出のエルピーダ
エルピーダメモリの坂本幸雄社長は、胸をなで下ろしているに違いない。
9月末、DRAMのスポット価格(1ギガビットDDR2)が2ドル台に乗った。強気で鳴らす坂本社長が第1四半期決算説明会で予想した「1・5から1・8ドル」という価格レンジを突破している。
昨年12月にDRAM価格は一時60セントを割り込み、今年1月には世界5位の独キマンダが倒産。エルピーダは台湾勢との資本提携や公的資金での支援要請に追い込まれた。
だが、悪夢の時期は過ぎ去った。「まず行き過ぎた低価格からの反動がある」(ゴールドマン・サックス証券の松橋郁夫アナリスト)。キマンダ破綻や台湾勢などが資金余力を失ったことで、供給が抑えられている。一方で「世界のパソコン販売は堅調なうえ、10月末に予定される新OSのウィンドウズ7発売に向け、パソコンメーカーが在庫を積み増した」(松橋氏)。
エルピーダは改正産業活力再生法の第1号に認定、8月末には日本政策投資銀行から300億円分の優先株出資を受けた。それでも足りずに公募増資で約600億円を調達。9月30日には協調融資1100億円のうち440億円も実行された。
なりふり構わず行った資金手当てが一段落したこの時期に、DRAM価格が上昇。足元では、ようやく営業黒字化が見えてきた。
米国政府が圧力?
むろん、不安材料は残る。