アメリカ発の「代替肉」が気づけば急拡大の予感 植物から肉を製造・販売する企業に注目集まる

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同じく植物由来の肉を開発・販売する企業にインポッシブル・フーズがある。スタンフォード大学のパトリック・ブラウン教授が2011年に創業した同社は、主に大豆由来の素材を使用しており、肉を分子レベルで解析し、牛ひき肉のような匂い、味、触感などを再現している。同社の“肉”の特徴は、大豆ヘモグロビンから取得したヘムを活用していること。

これにより、その風味や香りをより肉に近づけることができたのだという。またユダヤ教徒向けコーシャ認証、イスラム教徒向けハラール認証を受けていることも特徴だ。

インポッシブル・フーズの代替肉(写真:Impossible foods)

同社はアメリカ国内と香港、マカオ、シンガポールの約1万7000店のレストラン向けに展開しているほか、アメリカ国内の小売店でも販売している。非上場企業だが、今年5月に3億ドルを調達している。ビヨンド・ミートが株式市場で注目を浴びたこともあり、同社もIPOが期待されている。

以下に代替肉関連銘柄の売上高と1株当たり利益、株価の推移をまとめてみた。

日本は未成熟だが、市場は確実に拡大

ところで、なぜ植物から肉をつくるのか?

インポッシブル・フーズの代替肉(写真:Impossible foods)

肉食や畜産に関しては、これまでも現在でも、さまざまな観点から多くの問題が指摘されている。例えば、ハーバード大学の研究チームは、このほど赤肉や加工肉の摂取量が増えると死亡リスクが高まるとの報告を発表している。

畜産業に関しては、排出される温室効果ガスは自動車などの交通機関から排出される量を上回っており、また畜産業のため森林が伐採され、飼料として大量の穀物や水が必要との問題はすでに常識となっている。

毎年多くの家畜の命が奪われ、なかには劣悪な環境で飼育されているケースもある。

インポッシブル・ワッパー(ハンバーガー)(写真:Impossible foods)

こうした健康への影響も、気候変動や地球資源などに関する問題も、動物愛護の観点も、動物肉から植物由来の肉に移行することで大きく改善できるというわけだ。

2019年6月、カナダ最大のファストフードチェーンであるティムホートンズは全店でビヨンド・ミートのソーセージパテを使った朝食メニューを展開すると発表した。

ちなみにティムホートンズは2014年にバーガーキングと合併し、同時に設立した親会社レストラン・ブランズ・インターナショナル(QSR)の傘下にある。そのバーガーキングは、インポッシブル・フーズのパテを使用したハンバーガー「インポッシブル・ワッパー」のテスト販売を実施している。

ティムホートンズの朝食メニュー(写真:Beyond meat)
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