LVMHが「ティファニー」を心底欲しい3つの理由

老舗企業に1兆5800億円で買収提案

フランスのLVMHがアメリカのティファニーに買収提案。その意図は(写真:Carlo Allegri/ロイター)

30年前に「ルイ・ヴィトン」などで知られる世界屈指のラクジュアリー企業、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)のトップに就いて以来ずっと、70歳のベルナール・アルノー会長兼CEOは、この記念すべき年に「美しい企業」をグループに迎え入れることを夢見ていた。

10月26日、LVMHはアメリカの宝飾大手ティファニーを145億ドル(約1兆5800億円)で買収する提案を行った。実現すれば、1987年にフランスのルイ・ヴィトンとモエ・ヘネシーの合併により誕生したLVMHにとっては過去最大の買収案件となる。ティファニー側はLVMHから買収提案があったことを認めたものの、協議にはまだ入っていないとしている。

年間5兆円稼ぐコングロマリットに

ファッション界の法王とも言われるアルノーCEOが、ブランドビジネスに足を踏み入れたのは1984年にさかのぼる。働いていた建設会社の会長を務めていた同氏は、フランスの大手ファッションブランド、クリスチャン・ディオールを買収し、同ブランドを建て直した。

ブランドビジネスに目覚めたアルノーCEOは、1989年にLVMHの大株主になると同時に会長兼CEOに就任すると、グループに属するすべてのブランドの事業をそれまで手薄だった中国など海外に積極的に拡大。なかでもルイ・ヴィトンの成長はめざましく(中国には1992年に初出店)、今ではLVMHの利益の4割を稼ぎ出す中核ブランドとなった。

傘下ブランドの事業拡大を図る一方で、M&Aにも力を入れ、これまでにセリーヌ、フェンディ、ロエベ、ケンゾー、ベルルッティなど世界の名だたるブランドを買収。傘下ブランドが手がける製品の幅も、タグ・ホイヤーやウブロといった時計やブルガリなど宝飾品、化粧品など広がっている。もっともすべての買収が成功しているわけではなく、1991年にはグッチ、2013年にはヘルメスの買収に失敗している。

ベルナールCEOの拡大路線は、今のところ業績成長という点では成功している。ファッション製品や化粧品からシャンペンやワインなどアルコール事業などを手がけるコングロマリットとなったLVMHの2018年12月期の売上高は約468億ユーロ(約5兆8000億円)と前年比10%拡大、営業利益は約10億ユーロ(約1200億円)に達している。果敢に自らの帝国の拡大に挑み続けるアルノーCEOが今回、ティファニーに目を付けたのにはいくつか理由がある。

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