相次ぐ台風襲来で見直される「高速道路の役割」 災害後の「移動権」をどう確保していくのか

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在来線の被害はさらに甚大で、JRの水郡線、吾妻線や上田電鉄、阿武隈急行、箱根登山鉄道の一部などは復旧のメドが立たない状況が続いている。

道路のほうも各地で寸断され、いまだに陸の孤島と化している地区も少なくないが、高速道路は現時点では対面通行はあるものの完全に不通となっている区間はない。高速道路は平野や盆地の真ん中部分の低地よりは山裾沿いに敷かれていることが多いことや、平野を通す際も高架や盛り土の上を走っているので、冠水や洪水には強いという面が今回改めて確認されたということがいえそうだ。

高速バスが新幹線を代替

鉄道と高速道路の閉鎖で、中央線・中央道沿いの山梨県甲府市や北陸道・北陸新幹線沿いの富山市・金沢市と首都圏を結ぶルートが一時寸断され、移動に困難を極めたが、そのときにも高速バスが威力を発揮した。

甲府と東京を結ぶルートは、中央線、中央道ともに山梨県東部から八王子市にかけて通行止めとなり、甲府は陸の孤島と化した。13日以降、中央道の高速バスは全面運休となったが、山梨交通バスでは早くも13日には、東富士五湖道路、東名高速経由で新宿に向かう「緊急臨時バス」を路線バスではなく「旅行商品」、つまり旅行会社が販売するツアーの一環という形態で急遽運行、甲府と東京を結ぶ最低限の足を確保した。

翌14日以降は竜王・甲府~横浜線を東名を使う迂回ルートで運行するなど、決められた線路の上を走る鉄道とは違ったバスならではの柔軟性を活かした運行で公共交通機関の役割を果たしたことは特筆される。中央線の特急「あずさ」「かいじ」が運転を再開したのは、ようやく28日になってからのことであった。

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