浸水リスクが高い「鉄道車両基地」は多数ある より綿密な減災計画の策定が必要だ

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都内23区内で洪水、高潮で浸水が想定されている車両基地が十数か所ある(各自治体のハザードマップによる)。多くが東京下町に集中している。被害が甚大となるのは、万一荒川が決壊した場合で、その場合、最悪で23区の3分の1が浸水してしまう。

*は洪水のほか高潮時も浸水、( )内は高潮時。地下の施設での浸水深は、真上または周囲の地上部分での数値。各車両基地には、路線名を記した以外の車両配置もある。銀座線渋谷、丸の内線小石川、有楽町線新木場、大江戸線高松(光が丘)、浅草線馬込の各車両基地は浸水想定なし。JR中野電車区は浸水想定なし。東急雪が谷検車区、奥沢車庫、小田急喜多見検車区は浸水想定なし。筆者作成

東京メトロ、都営地下鉄の車両基地では、中野(方南町)検車区の例(神田川など)を除けば、いずれも荒川の氾濫及び東京湾の高潮による被害想定だ。

地下に車両基地を造った例も

比較的初期に造られたものや、都心からやや離れている車両基地は地上にあり、近年建設のものは地下に設置したものが多い。

東京メトロの千住検車区(南千住駅近く)、背後は隅田川(10月26日、筆者撮影)

地上に広がるものでは、日比谷線千住検車区(3m未満)は、すぐ隣を隅田川が流れる。同地は大正時代くらいまでは沼田だった。目測では周囲の低い所より2m程度かさ上げして造られている。

高島平駅東方にある三田線志村車両検修場(5m未満)は、北側には荒川が流れていて、1970年頃までは水田で、一帯は都内有数の米蔵といわれていた。

都営新宿線大島車両検修場(右側大島小松川公園の地下)、左は新宿線旧中川の上に位置する東大島駅(10月26日、筆者撮影)

地下のものでは、南北線王子検車区(5~10m)は隅田川に隣接している。神谷堀公園の下に立地するが、ここは大正時代くらいまで、水運のために造られた堀だった。そこを埋め立てた場所である。

新宿線大島車両検修場(5m未満)は、東京下町でも有数の地盤沈下の地で、周囲の標高はマイナス2.5m。東大島駅北側にあり、旧中川に隣接している。車両検修場の地上部分が大島小松川公園となり、公園は人工地盤として標高約5mある。

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