浸水リスクが高い「鉄道車両基地」は多数ある より綿密な減災計画の策定が必要だ
地形を眺めると、いずれも共通した特徴がある。
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大阪府の鳥飼車両基地の場合、近くを淀川が流れ、車両基地に寄り添うようにして安威川が流れている。川に囲まれた立地であるばかりでなく、1945年の空中写真を見ると、現在の車両基地は、旧安威川らしきものが蛇行する川の中となっている。そこが後に水田となり、整地して車両基地となった。
宮城県の新幹線総合車両センターは、砂押川が車両基地を横切り、すぐ下流で名古曽川と合流している。周囲は水田が広がり、川中島のような立地である。
長野新幹線車両センターも千曲川と浅川に挟まれた低地に造られている。
東京新幹線車両センターも、北には隅田川が流れ、明治時代の地図を見ると、一体は水田、さらに大昔は隅田川の氾濫原だった所である。
車両基地は、まるで川の近く、湿地を選んで立地させているように感じてしまう。車両基地には、広く平らな土地が必要である。ただでさえ平地が少ない日本の国土で、広く平らで洪水の危険も少ない土地は、もともと開発の手が進み、人家が密集していたりする。後から車両基地を作るとすれば、取り残されていた湿地や水田をかさ上げし整地して作るしかなかったと考えられる。
大井に洪水の心配はないが・・・
もう1つの方法が、海岸の埋め立て地への建設である。前述の東海道新幹線の大井車両基地や東京メトロ有楽町線の新木場検車区などがそれにあたる。
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大井車両基地の場合、東海道新幹線の車窓からは見えないのであまり知られていないが、東京モノレール大井競馬場前駅より約800m海側、首都高湾岸線よりさらに海側の場所に広がっている。東京駅から見て品川駅近くの地点で本線と分かれ、引き込み線によってこの車両基地へとつながっている。
大井車両基地の場合、海や運河に囲まれた人工島なので、洪水の心配はない。東京都建設局による高潮ハザードマップでも、高潮はやってこない想定だ。それでも0.5m浸水するのは、いわゆる内水氾濫、降った雨が排水しきれなくなるためだろう。排水ポンプの増強などいくつかの対策が考えられる。
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