ゼロ戦争勃発!サッポロはナゼ独自路線を狙うのか?《それゆけ!カナモリさん》
■ノンアルコールビール戦争が始まった
2002年の道路交通法改正により、飲酒運転の罰則が厳しくなったことを受けて、サントリーの「ファインブリュー」を皮切りに大手ビール会社が続々とビールテイスト飲料を発売。市場を形成しはじめた。しかし、酒税法上では「酒」とは扱われない1%未満とはいえ、0.1-0.5%のアルコールを含有している各製品は、「飲みたいけど飲めない!」というドライバーなどのニーズには応えきれていなかった。そのニーズをがっちりとすくい取るべく、世界初のアルコール0.00%を実現し大ブレイクしたのが、2009年4月発売のキリンビール「フリー」である。同商品は8月までに当初目標の年内63万ケースを大きく上回る219万ケースを販売し、年間目標を当初比約4倍の250万ケースに引き上げた。フリーの急成長に、競合メーカーは早くも追撃モードに入り、9月中に大手4社の商品が出そろった。
ディフェンディング・チャンピオンである「フリー」の味はといえば、各メディアから「最もビールらしい味わい」と好評である。猛追撃の構えを見せるアサヒビール「ポイントゼロ」は、さすが「スーパードライ」のアサヒだけあって、のどごしの爽快感がピカイチらしい。そして、サントリー「ファインゼロ」は「スッキリよりも味わい系」だという。
キリン、アサヒ、サントリーの3製品は、いずれも、「いかにビールにそっくりな味を再現できるか!」という前提条件の下に、各々が特徴を出そうと競い合っていることが分かる。そりゃそうだ。ドライバーの「飲みたいけど飲めない!車だから!」とか、ドクターストップがかかっている病人の「飲みたいけど飲めない!命が惜しいから!」という、「アルコールが完全にゼロでもビールの味が味わいたい!」という切なるニーズに応えることが、このカテゴリーの「中核的価値」であることは間違いないのだから。そして、それを実現するための「実体価値」として、各社は独自の味わいやのどごしを工夫しているのだ。
しかし、そんな競争ルールや価値構造にサッポロはあっさり背を向けているらしい。
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