ゼロ戦争勃発!サッポロはナゼ独自路線を狙うのか?《それゆけ!カナモリさん》
■カロリーオフ!プリン体オフ!
サッポロの「スーパークリア」はそもそも、原材料に麦芽もホップも使っていないという。サントリーなどは「麦芽を同社の従来商品の1.3倍使い、アロマホップを100%使用した」(東京ウォーカー)と大きく張り込んでいるのに、「サッポロは麦芽エキスを使用し、原材料名の筆頭も水溶性食物繊維」(同)だというから驚きである。さらにブドウ糖などの糖分原料を控えめにし、「カロリーは他社製品の1/2~1/3程度の6kcal(100ml中)でプリン体も低い」(同)という特性を実現しているのである。つまり、この製品の中核的価値は「ビール風味の健康飲料」なのだ。
そのビール風味を実現する実体価値は、「あっさりさらさらとした口当たりで、ビールの風味はするが、ビールの泡立ちやのどごしはない。ビールの代替物としては物足りないけれど、甘味のないスッキリした炭酸飲料を求める人には飲みやすい味わい」(日経トレンディネット)を実現している。そして、健康飲料としての魅力を高める「付随機能」として、「低カロリー・低プリン体・食物繊維」という健康3点セットがモレなくついてくるのである。
サッポロだけが大手4社の中で明らかにターゲティングも、ポジショニングも異なる展開をしていると推測できるが、そのワケはナゼだろうか。
サッポロがビール類課税出荷量のシェアで、サントリーに抜かれ4位転落をしたのは2008年第1四半期のこと。結局昨年は通期でも3位返り咲きができず、かわってサントリーが、ビール事業に参入した1963年以来初めて3位の座についた。サッポロの業界のポジションとしては「フォロアー」となっている。シェアの低下は店頭の棚確保が難しくなるというマイナスのスパイラルを生む。
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