開始10年「裁判員制度」から見えてきた"光と影"

3分の2の人が裁判員を辞退する理由

“ひと肌脱いで”と言われても、法律の知識のない素人は裁判には関われない、というのは普通の感覚。だが、裁判員に法律知識は必要ない。法律問題は裁判官が担当するからだ。裁判員になれない職業や要件などはいくつか設定されているが、20歳以上で選挙権があれば年齢や性別による制限はなく、今年6月には、96歳の男性も裁判員を務めた。

◆「裁判員になれない」人
・国会議員・国務大臣・行政機関幹部職員
・知事・市区町村長
・司法関係者(裁判官・検察官・弁護士など)
・大学の法律学教授・准教授
・自衛官
・懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
・政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体の結成者、加入者
・禁錮以上の刑に処せられた者
・心身の故障のため職務遂行に著しい支障のある者
・当該事件に関連する人……など

ちなみに、1年間で裁判員(と補充裁判員)に選ばれる確率は約1万1000分の1~1万3500分の1。これはゴルフでホールインワンが出る確率と同程度だ。

裁判員が選ばれるまで(図:週刊女性PRIME)

裁判員裁判の対象事件は、殺人、強盗致傷、放火、誘拐、危険運転致死、傷害致死、保護責任者遺棄致死……など、国民の関心の高い重大犯罪の第一審。

「必要なのは市民の“常識”。裁判官は法律の専門家で一生懸命取り組んではいても“慣れ”や“偏り”が生じる。

毎日のように有罪の人を見て判断しているわけですから。検察官がきちんと証明しているか、それを市民の常識で判断してほしい」(四宮教授)

そのためには、裁判そのものを変えねばならなかった。

「それまでは書類中心の裁判。参考人や被告人を取り調べた膨大な書類を、裁判官が裁判官室で読み込んで判決を出していた。でも裁判員にそんな負担を背負わせることはできません。

そこで法廷で、検察官、弁護人、裁判官、裁判員が証人や被告人に直接質問をして判断する、という方法に転換しました。

被告人や証人の表情も見ることで、“嘘じゃないか?”といった普通の感覚が生かしやすくなるわけです」(四宮教授)

次ページ実際に始まってみたら…
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