部下の指導が「パワハラ」認定される上司の特徴 「指導」と「パワハラ」の境界はかなり曖昧だ
部下や後輩を指導したら、パワハラだと言われてしまった……。そんなお悩みの相談が弁護士ドットコムにも複数、寄せられています。
病院に勤務し、指導的立場にあるというある相談者は、「消毒行為が必要な際に、消毒液を準備しなかったことを注意しただけでも、不服に思うスタッフも多くいます」として、スタッフからパワハラと訴えられられないよう、どう対策したらよいか、と尋ねています。
また、別の相談者は、顧客先で部下の対応の不備を指摘されたため、後日に会社で注意と指導をしたところ、部下から逆に「自分の行動は合っているはずです。課長の指摘はつねに合っているのですか? 一方的な指導はパワハラですよ」とほかの社員が多数いるところで騒がれてしまったそうです。
部下は「そのときに指摘せずに、後日に指摘するのもパワハラ」とも言ったそうで、相談者は部下を「逆パワハラ」や名誉毀損で訴えることは可能か、と聞いています。
はたして、「指導」と「パワハラ」の線引きはどこにあるのでしょうか。竹花元弁護士に聞きました。
指導とパワハラの違い
パワハラとは、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」をいいます。
これまでパワハラを定義づける法律はありませんでしたが、今年成立した改正労働施策総合推進法(いわゆる「パワハラ防止法」)により定められました。
パワハラ該当性は、(A)優越的な関係を背景とし(B)業務上必要かつ相当な範囲を超え(C)就業環境を害する という3つの要件を満たすかにより判断されます。
上司と部下の関係には「優位性」が認められるので、上司から部下に対する「暴行」や「脅迫」がパワハラに当たることは争う余地がありません。そこに業務上の必要性が認められることはないからです。