韓国の若者が「失業に苦しみ続ける」社会的背景 「若者の5人に1人」が実質的な失業者
自殺するために勉強したんじゃない――。2016年12月、韓国の首都ソウルで朴槿恵(パク・クネ)前政権を糾弾する反政府デモを取材したとき、ある若者が叫んだ言葉だ。
韓国の自殺率はOECD加盟国のなかで最も高いが、2011年以降は政府の対策などもあってか全体としては減少傾向にある。ただ20代は例外で、今年の自殺予防白書でも前年と比べて唯一減少しなかった世代と指摘されている。
彼らが自殺に追い込まれる背景の1つには、激しい入試競争を経て大学を卒業しても職にありつけず、将来への経済的不安があるためとされている。実際、韓国の20代の失業率は全体の10%近くもあり、全体の2.5倍以上という水準が長らく続いている。
なぜ韓国の若者は失業に苦しみ続けるのか。【韓国・文在寅政権の成績表】シリーズの第2回目は、雇用問題の最前線に迫る。
公約として掲げられたかずかずの雇用対策は、文政権発足2年半を経て、どのような成果があったのか。韓国の雇用・労働問題に詳しい駿河台大学の朴昌明(パク・チャンミョン)教授に、本誌・前川祐補が聞いた。
5人に1人が失業者という現実
――韓国の若者の失業率はかなり高い。
韓国統計庁によると、2018年の失業率は3.8%であるのに対し、青年失業率(15~29歳)は9.5%と顕著に高い。
定職を持たないフリーター、就職浪人、ニートなど実質的な失業者を含めて算出すると失業率はさらに高くなる。「青年拡張失業率」、つまり広い意味での失業率を見ると、15~29歳はコンスタントに20%を超えており、これは深刻な数値と言わざるをえない。若者の5人に1人が実質的な失業者ということになる。