「星のや」が脱デジタル宿泊を進める社会的背景 30代の3割が「スマホ依存症」を自覚している
その後、聞香(もんこう)入門のアクティビティを体験した。
この聞香体験では、香木の香りを聞く(嗅ぐ)体験のみならず、専用の道具を使って炭の上に灰の山をつくり、その上に香木を置いて「香炉を完成させる」過程も体験できるのが面白かった。
そして、夕食を取り、就寝前には水辺でストレッチを行った。
翌朝は5時に起床し、禅寺に出かけ、読経などの「お勤め」を行った。宿に戻って朝食を取った後、貸切の屋形船で約1時間の船遊びを楽しんだ。以上が、星のや京都の脱デジタル滞在の内容だ(聞香、ストレッチ、お勤め、船遊びがセットで税抜き4万円)。全部を体験するとやや忙しい気がするが、好みに応じて選ぶことができる。
「脱デジタル」で気づかされたこと
実際に脱デジタルを体験してみると、多くの体験者が同じことを言うそうだが、「1日、スマホを手放してSNSやメールをチェックしなかったところで、大したことはない」ということに改めて気づかされた。また、食事のときには、いつもなら、運ばれてきた料理を、SNS映えを狙ってスマホで気合いを入れて撮影したと思うが、写真を撮ることを忘れ、味覚に集中したことで、いつも以上に料理をおいしく味わえたように思う。
脱デジタル滞在は、どのような利用者が多いのだろうか。星野リゾート広報によれば、まず、お一人様利用が多いという。これは静かに自分と向き合う「内省する時間」を設けるのが、プランの目的の1つになっているので当然かもしれない。
また、年代別では星のや京都の場合、40~60代が60%以上を占めるというが、これは星のやの高額な宿泊料金が、若い世代の選択肢になりづらいのが理由だろう。しかし、脱デジタルは、若い世代に大きな潜在的需要があるのは明白だ。
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