それでも日経平均は再上昇する可能性がある

2つの重要指標で日本株の行方を読み解く

日本株は今後上昇するのか。重要な指標をよく見ると、上昇の兆候がある(撮影:尾形文繁)

日経平均株価は、9月3日から17日にかけて10日続伸を記録した。その際の説明としては「世界的な金融緩和」「米中貿易戦争の和解に向けた動き」など、マクロファンダメンタルズ以外の要因が多く取り上げられた。実際、この間にECB(欧州中央銀行)は金融緩和のメニュー(マイナス金利深掘り、量的緩和再開、先行きの金利見通し強化など)を総動員したほか、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)は今年2度目の利下げを実施(FF金利上限を2.25%から2.00%へと引き下げ)した。

また、アメリカのドナルド・トランプ大統領は中国製品に対する関税引き上げを一部延期した。株式市場がそれらを好感したのは事実であるから、それ自体を否定するつもりはない。しかしながら、筆者は株価反発のより重要な背景として、製造業におけるマクロファンダメンタルズの改善があったと考えている。以下、日本株を読むうえで筆者が注目している2つの経済指標をみていく。

シリコンサイクルに連動する電子部品・デバイス工業

まず、日本株投資の観点から注目すべきは鉱工業生産統計における「電子部品・デバイス工業」の動向だ。経済産業省の分類に基づくと、この業種にはメモリー、ロジック、マイコンといった半導体製品(IC)が含まれるほか、電子回路基板、液晶パネル、コンデンサーといった電子部品が多く含まれ、東証の33業種分類では「電気機器(ウェイト14%)」がおおむねそれに対応する。

ちなみに、日本企業が優れた競争力を持つ半導体製造装置は「電子部品・デバイス工業」には含まれないが、その生産動向は「電子部品・デバイス工業」と密接な連動性があるため、同じ文脈で説明しても景気認識に大きな齟齬は生じないと考えられる(2013年以降、両者の相関係数は約0.8)。やや曖昧な定義だが、ここではこれらをまとめてIT関連財とする。

以下、実際のデータの推移をみていくが、予備知識としてIT関連財は他の業種(自動車、化学、一般機械など)に比べて製品サイクルが短く、需要の変動も激しいため、活況と不況を繰り返す傾向があることを知っておく必要があるだろう。これは一般的にシリコンサイクルと呼ばれ、活況2年・不況2年の往復4年程度の周期を持つことが知られている。莫大な設備投資を必要とする半導体産業は、ひとたび工場が稼働するとメーカーは投下資本の早期回収などの観点から稼働率を高めに保つ傾向があり、生産量が飛躍的に増加する。一方、需要は伸縮的なため、需給バランスが崩れやすい。過剰在庫が発生すれば、当然のことながら生産が抑制される。

次ページシリコンサイクルも2020年半ばから上昇転換へ
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