それでも日経平均は再上昇する可能性がある 2つの重要指標で日本株の行方を読み解く
そのうえで、電子部品・デバイス工業の生産動向をみると、2017年末頃までは①スマホ向け、②データセンター(で使用するサーバー)向け、③車載向け、④AI、⑤自動運転、⑥IoT、⑦産業用ロボット向け、といったテーマの下で世界の半導体市場が活況を呈するなか、順調に生産高を伸ばしてきたが、2018年入り後にスマホ需要のピークアウト、データセンター向け投資の一服などから(メモリーと呼ばれる半導体を中心に)IT関連財需要の伸びがピークアウトすると、これまでの増産体制から一転、メーカーは減産を余儀なくされた。そうしたなかで「電子部品・デバイス工業」の在庫は2018年後半に前年比40%強積み上がった(鉱工業生産統計ベース)。
IT関連財の在庫調整は進展している
世界半導体売上高はITバブル崩壊、リーマンショック以外に2桁を超す下落を記録したことはなかった。メーカーからすると予想以上の需要減少に直面した形だろう。実際、この局面では大手半導体メーカーが相次いで設備投資の先送りを決定し、半導体製造装置など関連産業に打撃を与えた。ただし、その後はメーカーの適切な在庫管理が奏功したこともあり、在庫の増加ペースは落ち着いてくる。2019年春頃になると、在庫の増加率は前年比1桁%まで低下し、2019年6月には遂に前年比マイナスに転じた。
依然として在庫水準は高く、かつIT関連財の需要が鈍い状況に変わりはないものの、さらなる減産の必要性が薄れたという点において、このデータは明るい。グローバルなIT関連市況が2017年のような活況を取り戻すには相応の時間を要すると予想されるが、2020年に⑧次世代通信規格5Gの稼働を控え、それに対応する製品の需要増加が期待されるなか、在庫調整が進展しているのは朗報と言える。
4年周期のシリコンサイクルに従えば、現在は2017年末頃をピークとする2年の下降局面に位置していると考えられる。足元のIT関連財の在庫調整進展に鑑みると、下向きの2年サイクルが2020年前半頃までに終了し、その後、再び2年程度の上昇局面が到来することが期待される。次の上昇局面でテーマとなるのは①と②の復活、③~⑦のさらなる普及、そして⑧である。
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