小泉進次郎「民間の立場でも政策は動かせる」 やらなければならないところには情熱がある

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私は復興政務官でしたから、文部科学省の官僚の方が、創設予定の中高一貫校について説明に来られました。「どこにでもある中高一貫校になりそうだな」というのが、正直な印象でした。「原発事故が起きた後に、そこに新しい学校をつくるなら、ここにしかないものを教育の中に取り入れなければ意味がないじゃないか」と、感想を申し上げました。

船橋洋一(ふなばし よういち)/1944年北京生まれ。東京大学教養学部卒業。1968年朝日新聞社入社。北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長、コラムニストを経て、2007年~2010年12月朝日新聞社主筆。現在は、現代日本が抱えるさまざまな問題をグローバルな文脈の中で分析し提言を続けるシンクタンクである財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブの理事長。現代史の現場を鳥瞰する視点で描く数々のノンフィクションをものしているジャーナリストでもある。主な作品に大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した『カウントダウン・メルトダウン』(2013年 文藝春秋)『ザ・ペニンシュラ・クエスチョン』(2006年 朝日新聞社) など(撮影:今井康一)

普通だったら、政務官のこうした発言を霞が関の人は無視します。政務官は、陰では「盲腸」と言われています。「なくてもいい」ということです。教育長の皆さんとも自然とつながりができていく中で、「前例のない環境には、前例のない教育を」という理念と新しい学校の青写真が出来上がっていきました。

教育長の皆さんからは、「前例のない教育を実現するために、応援団を作ってほしい。発信もしてほしい」と頼まれました。私は動くべきだと考え、各界の第一人者の方々の下を行脚し応援をお願いしました。

応援団には作詞家の秋元康さんや、建築家の安藤忠雄さん、元東大総長の小宮山宏さん、元陸上選手の為末大さんら多くの方に加わっていただきました。そのようにして、県立ふたば未来学園という中高一貫の学校が誕生しました。詳しく紹介する時間はありませんが、「ふるさと創造学」という講座や、応援団の方々による特別授業など、特色ある教育を続けておられます。

最初の出会いから学校の設立まで、文科省の官僚の方は公私を超えて、時には官僚の枠を超えて一緒に汗を流してくださいました。そのお蔭で応援団も実現できました。

政策は変えられる

須賀千鶴さんもお見えになっていますけれど、彼女は規格外の官僚です。今は経済産業省から出向して、世界経済フォーラムの第四次産業革命日本センター長を務めておられます。 

須賀さんと出会ったのは、民間の主催の会議でした。有識者の方々のパネルディスカッションを聞いていて、私は退屈していました。すると、たまたま隣の席に座っていた女性が「なんか全然面白くないですね」と言いました。それが須賀さんです。そこで意気投合し、その後、政策についていろいろ議論したり、アイデアをもらったり、連携をする関係になりました。

理屈じゃないんです。同じ価値観とか、面白いことを面白いと思える、つまらないことはつまらないと言える、そういったことで人ってつながっていくと私は思うんです。

小林さん、藤沢さん、須賀さんに共通して言えるのは「何かを変えたい」という思いです。政策のアイデアを霞が関に限定させることなく、そのアイデアをどう変えていくべきか模索していかなければ、政治家は創造性をなくしてしまうでしょう。そしていちばん不幸になってしまうのは私たち国民です。

現状をどのように変えていくか、ということばかり考えている私のような政治家と、熱い思いを持った官僚が出会ったとき、政治は動きます。政策は一気に変わっていきます。

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