大学生よりも優秀?高専生が注目される理由 技術者や研究者として必要な行動力がある

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現在、本科卒業者には準学士の称号が付与され、専攻科修了者は、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構に申請を行い、審査に合格することにより学士の学位を取得できる。

高専卒業生の進学も進み、現在は本科卒業生の40%ほどが専攻科に進むか大学に編入する。

国立高専51校の入学定員は9360名で、在学生は本科4万8279名、専攻科2934名だ(2019年5月1日現在)。

進路は(1)中学校から高専(2)高校から高専に編入(3)高専から大学に編入(4)高専から専攻科(5)専攻科から大学院に入学などさまざまある(画像:独立行政法人 国立高等専門学校機構HPより)

各高専の各学科定員は40名、4学科ほどの体制が基本なので、1学年160名、全学で800名(専攻科を除く)程度を標準とする小規模・少人数教育が特徴だ。学費は安く、入学料8万4600円、授業料(年額)23万4600円だ(国立高専の場合。全国同じ)。

すべての国立高専に寮がある。2004年からは独立行政法人国立高等専門学校機構(国立高専機構)が国立高専を設置・運営している。進路は以下のとおりだ。

(1)中学校卒業段階の学生が入学
(2)高校卒業者は高専への編入資格がある
(3)高専卒業者は大学への編入の資格がある
(4)高専卒業者は高専の専攻科に進学する資格がある
(5)専攻科を修了して「学士」を得た者は、大学院への入学資格がある

ロボコンで有名になった高専

NHKによる高専ロボコンの放映によって一般人にも高専の名が知られるようになった。国内で最も歴史のあるロボコンで、全国の高専を対象に1988年にスタートした「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト」のことだ。

大学ロボコンもあるが、高専生を対象にして始まったことは興味深いし、今年になって高専生が対象の「DCON」も開催されている。「全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト(DCON) 2019」の本選が4月24日に東京都内で開催された。

日本ディープラーニング協会と日本経済新聞社が共催し、高専を対象に「ディープラーニング活用のビジネスコンテスト」として実施したものだ。今年8月にはNHK・Eテレの「サイエンスZERO」でその様子が放映された。

催しを主導しているのは、AI研究の第一人者で、複数のメディアで「高専生は日本の宝。世界にない人材」とまで話した東京大学大学院工学系研究科の松尾豊教授。コンテストの審査員は著名なベンチャーキャピタルのトップらだ。

高専生がAI技術を活用したビジネスを提案し、仮にベンチャー企業だったとして、「仮想・企業価値評価額(バリュエーション金額)」で順位を決めるという方法を採用し、単なる技術コンテストではない点が特徴だ。

同コンテストで1位となったのは長岡高専のチームによる「METERAI」という作品。製造現場でのアナログメーターを画像認識で読み取って製造現場を改善するもので、バリュエーション金額(企業評価額)が4億円、投資額が4000万円とされた。2位は香川高専のチームによる「送電線点検ロボット」で、バリュエーション金額が3億円、投資額が3000万円とされた。

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