大学生よりも優秀?高専生が注目される理由 技術者や研究者として必要な行動力がある

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国立高専機構は、発展途上国での技術者教育支援として高専の海外展開を行っており、「KOSEN」はモンゴルやタイでも導入され、高い評価を得ている。自民党でも内外での高専の評価に注目しており、同党文部科学部会に「高等専門学校小委員会」が設置されている。

大きな問題は高専についての国民の認知度がそれほど高くないことだ。卒業生に対する評価は高いのに中学生の高専への入試倍率が高くない、職場で大卒との待遇格差が生じている場合がある、多くの高専が設立から50年以上が経過し、施設の老朽化が進んでいるなどの問題点も抱えている。こうした問題に自民党関係議員の関心は高いようだ。

大学教育全体を見直すきっかけにも

高専に対する高評価は、大学などの高等教育全体の検証にも参考になると筆者は考えている。現在、法学や政策学など、社会科学領域の教育を行っているが、近年、若者の未知なものへの好奇心や社会への関心の低さを強く感じる。興味・関心に基づく行動意欲を欠いていては大学の授業を面白いと感じるはずはない。

ほとんどの欲求がスマホを通じて満たされている若者に対して、学ぶ動機づけをどのように与えるかは極めて重要な問題だ。学校での学びが社会につながっており、自らが社会に貢献できるという実感こそが大学教育には不可欠だと筆者は信じている。現在の大学教育にはそれが欠けている。高専教育から学ぶことは多い。

細川 幸一 日本女子大学名誉教授

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ほそかわ こういち / Koichi Hosokawa

専門は消費者政策、企業の社会的責任(CSR)。一橋大学博士(法学)。内閣府消費者委員会委員、埼玉県消費生活審議会会長代行、東京都消費生活対策審議会委員等を歴任。著書に『新版 大学生が知っておきたい 消費生活と法律』、『第2版 大学生が知っておきたい生活のなかの法律』(いずれも慶應義塾大学出版会)等がある。2021年に消費者保護活動の功績により内閣総理大臣表彰。歌舞伎を中心に観劇歴40年。自ら長唄三味線、沖縄三線をたしなむ。

 

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