続く無断投稿「漫画村」はなぜ繰り返されるのか 海賊版横行で日本の漫画文化が破壊される
なぜ違法アップロードが繰り返されるのか。自分の好きな漫画を多くの人に知ってほしいというファン心理もあるだろうが、大半は広告収入を得ることが目的とみられる。
ある出版関係者によると、海賊版動画のアップロードにより半年で2000万円以上の収入を上げたアカウントがあったという。これは、このアカウントで投稿された動画の合計再生回数が毎月コンスタントに370万回以上となり、動画視聴中に入る「インストリーム広告」などによって稼げる額だ。
日本の漫画文化を破壊しかねない
一方、違法アップロードによる被害額は単行本価格などをもとに計算することができる。人気作品のアップロードを繰り返していたケースでは、1アカウント当たり1億5000万円以上の被害額が発生したケースもあった。
漫画村の運営者特定に関わった中島博之弁護士(東京フレックス法律事務所)は、「日本の漫画文化を破壊しかねない海賊版問題は今、正念場を迎えている」と強調する。
海外にあるサーバーを使うことで、海賊版サイト運営者たちはこれまで摘発を逃れようとしてきた。漫画村事件では大本になるサーバーをウクライナに置いていた。加えて、アメリカのサーバー提供会社が各地に所有するサーバーを中継する形を取っていた。
しかし、海外を経由した摘発逃れはもはや通用しないことが示されつつある。漫画村事件では、アメリカのサーバー提供会社にアクセスログを開示請求するなど各種情報を集めることで運営者の特定に成功し、逮捕・起訴に至った。
中島弁護士は「こうした事例を積み上げ、確実に処罰されることが示せれば、著作権法違反の抑止につながる」と話す。