渋谷の展望施設は観光の「弱点」を克服できるか 外国人対応の案内施設や展望台が今秋開業
物理的な案内所の設置が進まない状況の補完の意味もあり、数年前に観光協会では「PLAY! DIVERSITY SHIBUYA」という公認アプリをリリースした。
「このアプリはわれわれにとっては挑戦だった。例えば、検索エンジンで”ラーメン”を検索すると、うどんやそばは出てこない。しかし、(外国人観光客にとっては)うどんやそばも並列で検討できるほうが親切かもしれない。また、”カフェ”で検索すると、大手カフェチェーンの情報ばかりが出てくるが、われわれがおすすめしたいのは、路地裏にある全国でもトップクオリティーの喫茶店。つまり、検索する人の想像の外側にあるようなものをおすすめする狙いがあった」(金山氏)
このアプリは東京観光財団からの補助金で、実験という位置付けで開発し、アプリ自体は機能的にも非常に優れていた。しかし、金山氏は、「自治体や観光協会レベルでアプリを開発するのは無駄であると結論付けた。インストールの手間があるし、アプリの存在を知らしめるのに、莫大なコストがかかってしまう」と言う。
QRコードと観光支援施設に期待
現在、ベストプラクティスと考えているのは、Googleマップとの連携だという。Google マップでクチコミを投稿したり、質問に回答したりする「ローカルガイド」がおすすめするコンテンツを観光協会がキュレーションする。具体的な仕組みとしては、街中にQRコードを掲示し、困ったことがあったらQRコードを読み込んでもらい、必要な情報をGoogle マップベースで得られるような仕組みを構築するという。
「来年の東京五輪に向け、QRコードの掲示を増やしていきたい。商業施設、行政施設の軒先、交番などに無人の案内機能をつくり、QRコードを貼り付けていけば、かなりの領域をカバーできる」と金山氏は話す。
こうした中で、金山氏も期待するのが、フクラス内に新たにオープンする観光支援施設「shibuya-san」だ。同施設は、「基本的には全員外国人スタッフで考えており、原則として日本語も話せる外国人スタッフを採用する予定」(東急広報)であり、これまでの観光案内所の常識をくつがえし、対面カウンターを設置しない「交流型」にするという。また、ナイトタイムエコノミー対応のため、23時まで営業し、夜間はアルコールドリンクを提供する。
同施設に関しては、観光協会は企画設計の段階でのみ携わり、運営はJTBコミュニケーションデザインが行うが、金山氏は「案内所を直営する必要はない。観光協会としては、渋谷の観光情報の提供はこうあるべきという戦略をしっかりと持ち、その戦略を頼ってくれるパートナーが増えていくほうが望ましい」と言う。
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