前編 大きく改正される相続税制

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相続開始後の手続きは意外と大変

相続を考えるにあたって、三井住友信託銀行では3つのテーマから考えてください、というお話をしています。
  3つのテーマとは、
①相続手続き
②遺産分割
③相続税
です。
   相続手続きについては話題になることが少ないのですが、実は多くの方にとって一番困るポイントでもあります。

例えば、「亡くなった方の葬儀費用や入院費用が払えない」という問題をご存じでしょうか。
   ある方が亡くなると、その方が銀行に預けていた預貯金は亡くなったことが分かった段階で払い出しができなくなります。これは、預貯金が相続財産として相続人共有の状態になるからです。
   誰がどの財産を相続するかが決まらない限り、たとえ亡くなった方のお子さんであっても、原則親の預貯金を払い出して葬儀費用にあてることはできません。通常、葬儀費用は葬儀後1週間程度で請求されることが多いため、事前の準備がなければ困ってしまいます。

この問題への準備として、信託銀行では信託の仕組みを使って葬儀費用などに使えるお金を短期間に相続人にお渡しするサービスの提供を始めています。もちろん、生命保険金よって対応することも可能です。いざというときの費用について対策しておくことは大切です。

本来の相続開始後の手続きの大変さは、これだけではありません。
財産の承継は大きくわけると、
①遺言があるとき
②遺言がないとき
の2つに分かれます。
   遺言があるときは遺言に従って遺産を分割することになりますが、遺言がないときは、誰が何をどのようにして受け取るのかを、相続人全員で合意し「遺産分割協議書」を取り纏めなければなりません。
   次に、「遺言書」もしくは「遺産分割協議書」の内容に基づいて、各金融機関や、法務局などで個別の相続手続きを行っていくことになります。手続きは1日2日でできるものではなく、非常に時間と手間がかかります。特に仕事をしている相続人にとっては大きな負担になると言えるでしょう。
   相続手続きの大変さを前もって知っておけば、「遺言書の作成」をはじめとした様々な準備をすることができ、遺された家族の負担を軽減することもできるようになるのです。

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