JR北海道「新たな自殺者」と「アル検拒否」の歴史 国交省鉄道局も「とうてい理解出来ず」と批判

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ところが、ここ最近、パイロットなど公共交通機関の乗務員の飲酒問題が相次いだことを受け、国土交通省は今年10月から、鉄道の運転士に対してもアル検を義務づけることを決めた。呼気1リットルあたり0・09ミリグラム以上の酒気帯び状態で運転した場合は、免許を取り消すこともあるという。

もっとも、これまで法律上での義務づけは無かったとはいえ、国交省によると、鉄道や路面電車の運転士については、JR各社を含む運行会社174社のうち171社が、既に検知器を使ったアル検を自主的に行っていた。

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きっかけは、2005年4月25日に起こったJR西日本の「福知山線脱線事故」だった。乗客ら107人が死亡し、562人が負傷した、この「JR史上最悪の事故」を機に、鉄道を中心とした運輸業界では、運転士や車掌ら、乗務員の体調や、精神面での管理を強化する動きが始まった。

国交省は06年10月、「動力車(列車)を操縦する係員(運転士)は、酒気を帯びた状態又は薬物の影響により正常な操縦ができないおそれがある状態で列車に乗務してはならない」とする省令(鉄道に関する技術上の基準を定める省令第11条第3項)を追加。これを受け、JR各社をはじめ、全国の鉄道会社で、アルコール検知器を導入する動きが広がり、JR北海道も08年11月に導入したという。

国交省鉄道局が「アル検拒否」を批判

ところが、である。

JR東日本やJR西日本など、他のJR各社が当時、それを乗務員全員に義務づけていたのに対し、JR北海道だけが、「(アルコール検知器での測定は)乗務員の個々の意思に任せる」として、「任意」で行っていたのだ。いや、同社の最大労組、JR北海道労組の抵抗によって、「義務づけることができなかった」と言ったほうが正確だろう。JR北海道関係者が語る。

「アルコール検知器の導入から半年以上が経った09年7月ごろ、札幌車掌所に勤務する(JR北海道労組の)青年部の連中が、『(検査を)受ける、受けないは個人の自由だ』などと騒ぎ始め、アル検をボイコット。これを機に、組合側は会社に、『酒を飲まない社員は登録制にして、(アルコール)検査の対象から除外しよう』と、妥協案を提示してきました。

しかし、中島(尚俊)社長(11年9月に自殺)ら、当時の(JR北海道)経営陣は『全社員を対象に(アル検を)実施するのでなければ、一般社会の理解は到底、得られない』として、この組合側の提案を拒否。会社として、あくまで乗務員全員を対象に実施する姿勢を堅持したのです。

一方、妥協案を拒否された組合側は、さらに反発し、(アル検を)拒否する組合員は日を追うごとに増えていきました。札幌車掌所では、青年部を中心に『前日に飲んでいないなら、アル検は受ける必要は無い』などと、自らに都合のいい理屈を唱え、十数人がボイコット。さらに、『釧路運輸車両所』もこれに同調し、一時は、(同車両所の)組合(JR北海道労組)に所属する車掌のほとんどが、検査を拒否するという事態に陥りました」

そして、JR北海道労組組合員によるボイコットが始まった約2カ月後の09年9月、札幌車掌所に、国交省鉄道局と北海道運輸局による、立ち入り検査(保安監査)が入った。その立ち入り検査の結果、国交省鉄道局は、手前勝手な理由で、アル検を拒否していたJR北海道労組組合員らの姿勢を、次のような異例の文言で、厳しく批判したのだ。

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