中でも衝撃的だったのは、カロリー、脂肪、糖分、塩分ばかりが多くて、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが少ない、いわゆるジャンクフード類の弊害についてでした。つまり、ジャンクフードをたくさん食べていると、「血液中の糖質や脂質が増えるため、粘度が高いドロドロ血液になり、毛細血管の末端まで血液が届かなくなる。体の隅々まで酸素や栄養を届けられなくなり、老廃物の回収もできなくなる。冷え性や便秘はもちろん、糖尿病、心血管疾患、がんなどの万病のもとになる」などの話です。
講師はイラスト図解でたくさんの具体例を示しながら、熱心に話してくれて、長女も真剣に聞いていたそうです。すると、ご多分にもれずジャンクフードをよく食べていた長女が、ほとんど食べなくなったそうです。それが約1カ月後の今も継続できていて、現在、親子ともどもなんとなく体調がよいとのことです。
納得度とやる気は比例する
ここまで2つの例を紹介しました。共通しているのは、啓発によって子どもの行動が大きく変わったという事実です。私は、教師として長年たくさんの子どもたちと接してきましたが、子どもの行動を変えたいとき、啓発が大きな効果を発揮するということをたびたび経験してきました。
啓発とは、デジタル大辞泉によると、「人が気づかずにいるところを教え示して、より高い認識・理解に導くこと」です。つまり、子どもにやってほしいことがあったとき、その必要性や大切さを子どもが理解できるように教えてあげることが大切なのです。
子どもも心から納得すれば、自らのやる気が高まって、けっこう自分から進んでやるようになります。納得度とやる気は比例するというのが私の結論です。口だけで「○○しなきゃダメ」と叱り続けるより、よほど顕著な効果があります。
私も、教師だった頃、手洗いとうがいの大切さを教える授業をたびたび行いました。インフルエンザ・ウイルスの顕微鏡写真を見せると、子どもたちは驚きます。そして、目には見えないけど、そういうウイルスなるものが実際に存在するのだということがわかります。次に、ウイルスが含まれているかもしれない咳やくしゃみをしたとき、その飛沫がどのように飛び散るかを説明する動画を見せます。子どもたちは想像以上に広い範囲に散らばることを知って驚きます。
手洗いをする前の手と、せっけんでしっかり洗った手を比べた写真も効果的です。特殊なライトを当てて撮影した写真で、洗う前の手がどれくらい汚れているかがわかります。その後で効果的な手洗いの仕方を説明する動画を見せ、その洗い方で実際に洗う練習をすると大きな効果があります。
こういう授業をすると、子どもたちは学校でも家でも自ら進んで手洗いとうがいをするようになります。親たちからも、「帰ってくるとすぐ手洗いとうがいをするようになりました。今まで何回叱ってもやらなかったのに……」という報告をたくさんもらいました。
ただ口だけで「手洗いとうがいしなきゃダメでしょ」と叱っているだけでは、なかなか実行に結びつきません。親や先生がいるところではやったとしても、いないところではやりません。その必要性を本当には納得していないからです。
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