デジカメ業界は、需要低迷と価格下落が顕著、一眼レフの拡大や開発力向上がカギ《スタンダード&プアーズの業界展望》

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今後の注目点と展望−−デジタル一眼レフ市場の展開
 
 事業リスクが高いデジタルカメラ事業では、ブランド力、商品企画・開発力、コスト競争力、在庫リスク管理能力、商品開発を支える資金力などが、競争力を決定する重要なポイントである。特にデジタル一眼レフの顧客層拡大への開発面・販売面での取り組みが今後の収益を左右するだろう。

カメラ映像機器工業会によると、2008年の国内メーカーによるデジタル一眼レフの世界販売台数はコンパクト型の1割に過ぎないが、販売金額は3割に達している。コンパクト型に比べて収益性が高いため、各社とも一眼レフでの新製品開発に注力している。

コンパクト型では、もはや高画質化、薄型化などという切り口だけでは差別化は難しい。手ぶれ防止や顔検出などの自動認識機能、液晶画面の大型化などを他社に先駆けて搭載することで差別化に成功した例があったが、他社が追いつくにはそれほど時間がかからず、先行メリットの享受は短期間で終わってしまうケースが多い。現在、国内メーカーは高速連写技術や画像認識技術を組み合わせて、顧客が半分自動的に撮影できる機種の開発や、一眼レフへの動画撮影機能の搭載、撮影後の画像の整理・活用に関するソフトを組み込んだ機種の開発に注力している。デジタル一眼レフは高額商品であるため、欧州や北米での売り上げは当面昨年同期を大幅に下回る模様だが、国内では買い替え・買い増し需要が堅調である。コンパクト型からデジタル一眼レフへ移行した入門顧客層を維持・強化し、さらに新規顧客を誘導するうえで、開発段階からターゲットを明確にした開発・販売戦略の巧拙が問われよう。

一眼レフ市場は、技術力の蓄積が必要であり、新規参入が難しい市場である。新規参入したメーカーの資金力をみきわめるうえで、経営陣の財務方針や投資計画などにも引き続き注目する必要があろう。
 
 このほか、新興市場は、まだまだコンパクト型を含めてデジタルカメラの普及が期待できる市場で、新興市場における需要の取り込みが今後の各社の業績拡大には重要だろう。世界の2強と言えるキヤノンとソニーにとって、今後新興市場での市場地位の確保が重要な戦略になってくるだろう。グローバルなブランド力の強さやコスト競争力を生かして、より柔軟な価格政策、生産体制の大幅な見直し、販売チャネルの確保などの観点で、新興市場での優位性は高く、中期的にこうした優位性が脅かされる状況は考えにくい。一方、中位以下のメーカーにとっては、商品企画力を強化して特徴のある商品を効率よく開発すると同時に、価格下落を緩和するためにも在庫リスクをいかに管理していくか、機敏な対応がトップメーカー以上に求められる。

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